神殺しのクロノスタシス1
その日の夜。

俺はいつも通り、アシバと共に帰宅していた。

そのときである。

「…キノファ。君にお客さんが来てる」

俺の耳元で、月読が囁いた。

お客さん…?

月読のこの表情を見るに、愉快なお客さんではなさそうだ。

…俺に「客」が来るのは、珍しいことではない。

何にせよ、アシバが近くにいるのは厄介だ。

「…アシバ、悪いんだが、俺は少し寄り道して帰る」

まずは、アシバと別れなくては。

「寄り道…?何処に?」

まぁ、当然の疑問だな。

「ちょっと、買い物にな」

そうとでも言っておけば、アシバは信じるはずだ。

疑うことを知らないアシバなら。

案の定、彼は。

「分かった。じゃあ、先に帰るよ」

彼は全く疑うことなく、そう答えた。

何も知らないアシバを騙すのは、心苦しかった。

だが、本当に「客」が来たのなら、アシバが近くにいては困る。

アシバと別れ、俺は月読に声をかけた。

「客は何処だ?」

「すぐ近く。焦らなくても、向こうから来てくれるよ」

…向こうから…。

一体何の用事があって俺のもとに来たのかは知らないが。

大体想像はつく。

また、その類の連中だ。

俺のもとに来るのは、いつもそうだから。

そして。

「…お前達か。俺に会いに来たのは」

「…ご名答」

その二人組は、突然俺の前に現れた。




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