神殺しのクロノスタシス1
「それで、その…シュニィちゃん。今日はどうしたの…?」

私は焦りを隠しながら、シュニィちゃんに尋ねた。

すると。

「あ、はい…。実は、学院長と羽久さんにお客様が来てて…」

「客…?」

って、誰なんだろうと思ったら。

シュニィちゃんの後ろから、久し振りの顔が現れた。

「よ。約束通り来たぞ」

「あっ…。ジュリス君」

羽久がサナキだったときに世話になった、ジュリス君であった。

うわー…。もう随分昔のことのように思う。

「ジュリス君、君…。『オプスキュリテ』は?もう良いの?」

彼は人間に紛れて、地下組織を運営していたはず。

ルーデュニアに来て、大丈夫なのか?

「心配しなくても、人間としての一生は終えてきたよ」

あ…そうか。

ジュリス君がいた時空とは、時間の流れが違うから…。

こちらではまだ一年もたっていないけれど、向こうでは既に何十年、何百年とたっているのだろう。

「今後は、あんたらに協力してやるよ。久々に魔導師として生きるのも悪くない」

「ジュリス君…」

なんて頼もしい。

彼ほどの魔導師が来てくれたら、聖魔騎士団はますます安泰…。

「…で?羽久は?」

「あ、うん…。ここにいるけど…」

私は、膝の上の羽久…じゃなくて、二十音を見下ろした。

「みーん。みーん…」

…ちょっと今、セミになってる。

「…ごめん。羽久に戻ったら、挨拶に行くよう言っておくから」

「…その方が良さそうだな」

ある程度事情を知っているジュリス君は、あっさりとそう言って引き下がった。

有り難い。

一通り甘えて、満足したら…また羽久に戻ることだろう。

何にせよ、これでジュリス君が合流した。

聖魔騎士団は、また一つ戦力を増やした訳だ。
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