神殺しのクロノスタシス1
「生徒の手作りチョコ…。美味しいなぁ」

「…」

…やっぱり警察呼ぼうかな。

犯罪の臭いしかしない。

「羽久も食べようよ」

「…呑気な奴だな」

…とは、言うものの。

実は職員室の俺の席にも、生徒からのチョコレートがいくつも置いてあったのである。

誰が置いていったのかは知らないが…。

もらってしまったものは、どうしようもない。

そもそも俺は時魔法の教師であって、生活指導はシルナの仕事なのだ。

「全く…」

こんな甘いことで大丈夫なのか、と思った。

そのとき。

「こんにちは、学院長先生。羽久さん」

「あ、シュニィちゃん」

毎度お馴染み、聖魔騎士団魔導部隊隊長のシュニィが、学院長室を訪ねてきた。

「やぁ、シュニィちゃん丁度良かった。チョコレートあげるよ。はい」

シルナは嬉しそうにチョコレートを差し出した。

何で誰にでもチョコあげたがるんだ?この人。

サンタクロースか何か?

「あ…ありがとうございます」

「こっちはアトラス君にね。あと、こっちはアイナちゃんに」

一家全員に渡すな。

「ありがとうございます。それとこれ…一応私からも」

と思ったら、シュニィまで俺とシルナにチョコをくれた。

おいおい。

一瞬にして、シルナの周りにお花畑が広がった。

誰からでもチョコレートをもらえたら、とにかく嬉しくて仕方ないらしい。

何歳だ、お前は。

「ありがとうシュニィちゃん」

「ありがとう」

一応、俺も礼を言う。

シュニィからの善意であることには変わりないからだ。

「いえ、ほんの気持ちですから」

にこり、と微笑むシュニィ。

シュニィの本命は間違いなくアトラスだから、俺達はお裾分けだろうけど。

お裾分けでも充分である。
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