神殺しのクロノスタシス1
その日は、そのままバレずに図書館を抜け出し。

何日かシェルドニアに潜り込んで、他にも色々分かった。

このシェルドニア王国という国で、何が行われているのかも。

俺とシルナが推測したように、この国は酷い洗脳国家であった。

新聞やラジオなど、国民が触れられるメディアは全て、王家や政府を崇め称える内容に偏っていた。

政府批判のニュースなんて、全くない。

その上、国家に反逆した誰それという人物を処刑した。これで国がまた清浄化された、万歳。なんておぞましいニュースも流れていた。

しかもこの国では、犯罪者は本人一人が罪を償うだけでは済まないらしいのだ。

一族郎党、家族もまとめて、収容所とやらに送られるそうだ。

この収容所について調べるのは、非常に骨が折れた。

図書館には当然、そんな資料は置いてない。

それどころか、収容所については、名前以外の何も知られていなかった。

分かるのは、そこは物凄く恐ろしい場所である、ということだけ。

シルナに言わせれば、収容所に関する情報を外部から一切遮断することで、収容所という場所を恐怖の対象にする為だろう、とのこと。

成程、どんな場所か分からないのは怖いよな。

聞いたところによると、その矯正収容所は、入ったら最後、二度と出られるか分からない恐ろしい施設なのだとか。

なんて非人道的な施設だ。

しかもこの国では、犯罪のハードルが恐ろしく低い。

つまり、どんな些細なことでも、あっという間に犯罪だと認定されてしまうのだ。

シェルドニアでは、国民は毎朝集会所に集まって、王様の肖像画に拝礼しなくてはならないという、馬鹿げたルールがあるのだが。

この拝礼に行かなかったり、寝坊して遅れたりすれば、それだけで罪になる。

罰の方法も、食べ物も与えられずに独房に入れられたり、鞭で殴られたりと、大変前時代的なものだった。

この罪が何度か重なると、晴れて収容所行きだ。

ルーデュニアの基準から考えれば、横暴としか言いようがない。
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