神殺しのクロノスタシス1
私はこの三ヶ月、ずっとヘイリー叔母の家で暮らしていたが。

十年以上に渡って染み付いた収容所暮らしの癖は、なかなか取れなかった。

食べ物に卑しいところも、変わらない。

自分でも悪い癖だと思っているが、今更直せないのだ。

十年以上染み付いてきた癖は、なかなか抜けるものではなかった。

それどころか、文字もろくに読めず、書けない私に、叔母は家庭教師をつけてくれた。

こうして私は、十年ぶりに教育を受けることになった。

長年馬馬車のように働かされてきた私にとって、ちゃんと椅子に座ってノートを前にして鉛筆を動かすという作業は、とてつもなく辛いものだった。

しばらく机と向かい合っていると、身体がむずむずして、叫び出したくなる。

叔母にそう訴えると、叔母から家庭教師に、こまめに休憩を挟むよう頼んでくれた。

ヘイリー叔母は、私が外の世界で生きていけるように、あらゆる手間を惜しまなかった。

お陰で私は、少しずつではあるが、外の世界に適応しつつあった。







たった一つ、叔母と会ってからずっと気になっていたことを除いて、だが。





< 450 / 669 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop