神殺しのクロノスタシス1
二十音が羽久で?
羽久が二十音?
何それ?
「俺は羽久だし、それ以外の何者でもない」
「羽久って…。君は二十音のはずじゃ…」
「誰だ?それ…」
いや、こっちからしてみたら、君の方こそ「誰?」なんだけど。
「君は…まさか二十音の身体を乗っ取ろうとして…」
自慢ではないが、二十音は私が手塩にかけて育てた魔導師。
そう簡単に、他人に乗っ取られるはずがない。
二十音を乗っ取れるほどの魔導師なんて、私は知らない。
それなのに、何故。
「乗っ取る…?誰が、誰を?」
しかし羽久は、訳が分からない、という顔だった。
…私をはぐらかそうとしているのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。
演技…には見えないけど…。
「君が…二十音を」
「さっきから言ってる、二十音ってのは誰だ?俺は羽久だ」
こっちこそ。
さっきから言ってる、羽久ってのは誰なんだ?
嘘をついている訳でもない、二十音を乗っ取ろうとしている訳でもないとしたら…。これは…。
「…君はもしかして、二十音の別人格…?」
そう考えるしかない。
一人の人間の中に、複数の人格が芽生える現象がある、と。
以前、本で読んだ記憶がある。
気味悪がられることが多いようだが、これは周囲をからかっている訳でも、演技でもなく。
彼らの中にある複数の人格は、れっきとした一人の個人なのだそうだ。
二人、もしくはそれ以上の人間達が、仲良く一つの身体の中に同居している。
もし二十音が、多重人格者なのだとしたら…。
いや、別にもしそうだったとしても、私が二十音を嫌いになるはずがないのだが。
私の二十音への愛情は、微塵も薄れることはない。
この身体に、百人くらい二十音以外の人格が住んでいたとしても。
そして、もし百人くらい二十音の中に別の二十音がいるのなら。
私は、その百人全員と、仲良くなりたい。
「…君は、二十音じゃなくて…羽久だったね?」
「あぁ」
「さっきは疑ってごめんね。私はシルナ・エインリー。宜しくね、羽久」
これが、私と羽久のファーストコンタクトであった。
羽久が二十音?
何それ?
「俺は羽久だし、それ以外の何者でもない」
「羽久って…。君は二十音のはずじゃ…」
「誰だ?それ…」
いや、こっちからしてみたら、君の方こそ「誰?」なんだけど。
「君は…まさか二十音の身体を乗っ取ろうとして…」
自慢ではないが、二十音は私が手塩にかけて育てた魔導師。
そう簡単に、他人に乗っ取られるはずがない。
二十音を乗っ取れるほどの魔導師なんて、私は知らない。
それなのに、何故。
「乗っ取る…?誰が、誰を?」
しかし羽久は、訳が分からない、という顔だった。
…私をはぐらかそうとしているのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。
演技…には見えないけど…。
「君が…二十音を」
「さっきから言ってる、二十音ってのは誰だ?俺は羽久だ」
こっちこそ。
さっきから言ってる、羽久ってのは誰なんだ?
嘘をついている訳でもない、二十音を乗っ取ろうとしている訳でもないとしたら…。これは…。
「…君はもしかして、二十音の別人格…?」
そう考えるしかない。
一人の人間の中に、複数の人格が芽生える現象がある、と。
以前、本で読んだ記憶がある。
気味悪がられることが多いようだが、これは周囲をからかっている訳でも、演技でもなく。
彼らの中にある複数の人格は、れっきとした一人の個人なのだそうだ。
二人、もしくはそれ以上の人間達が、仲良く一つの身体の中に同居している。
もし二十音が、多重人格者なのだとしたら…。
いや、別にもしそうだったとしても、私が二十音を嫌いになるはずがないのだが。
私の二十音への愛情は、微塵も薄れることはない。
この身体に、百人くらい二十音以外の人格が住んでいたとしても。
そして、もし百人くらい二十音の中に別の二十音がいるのなら。
私は、その百人全員と、仲良くなりたい。
「…君は、二十音じゃなくて…羽久だったね?」
「あぁ」
「さっきは疑ってごめんね。私はシルナ・エインリー。宜しくね、羽久」
これが、私と羽久のファーストコンタクトであった。