神殺しのクロノスタシス1
羽久の後、未来(みらい)ちゃんという女の子の人格が現れ。

次にステラちゃんという、これも女の子の人格が現れ。

最近では、サナキ君という男の子の人格が現れた。

これから他にも、新たな人格が芽生えるのかもしれない。

と言うか、芽生えるだろう。

複数の人格は、性別もそれぞれ違うし、性格もそれぞれ違う。

羽久はズケズケと物を言うタイプだけれど。

未来ちゃんは引っ込み思案で、特に男性は苦手なようだ。

それに、魔導適性の有無も、人格によって異なる。

二十音と羽久は、時魔法が得意だけれど。

未来ちゃんは時魔法より、回復魔法の方が得意だ。

ステラちゃんは魔導師ではなく、弓の方が得意だし。

サナキ君にも魔導適性はなかった。

それに、同じ時魔法を得手としている二十音と羽久にも、大きな違いがある。

二十音の方が、魔導適性が高いのだ。

複数ある人格の中で、間違いなく一番魔導師として強いのは、二十音だろう。

でも、間違いなく一番精神的に脆いのも、二十音だろう。

羽久の方が弱い、とか。羽久が二十音の劣化版だなんて言うつもりは全くない。

むしろ、安定した強さを誇る羽久の方が、魔導師として優れていると思う。

話が通じるという点で。

そういう意味では、精神的に安定し、更に魔導師としても非常に優れている羽久の方が、聖魔騎士団魔導師として部隊の大隊長に相応しい。

どの人格にもそれぞれ特徴があり、正に十人十色である。

二十音がどうして多重人格者となったのかは分からない。

もしかしたら、生まれたときからそうだったのかもしれないし。

長い間座敷牢に閉じ込められたトラウマから、別人格を生み出してしまったのかもしれない。

どちらでも構わない。

大事なのは、私が二十音の傍にいて、二十音が私の傍にいること。

これだけなのだ。
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