神殺しのクロノスタシス1
ラミッドフルス魔導学院。
ルーデュニア聖王国、王都セレーナにある、魔導学院の一つである。
ラミッドフルス魔導学院は、国内では、天下のイーニシュフェルト魔導学院の次に優秀な魔導師養成校だと言われている。
国内最高峰の教育機関の一つだが、イーニシュフェルト魔導学院と比べると、入学志願者は少ない。
その理由は、ラミッドフルス魔導学院がイーニシュフェルト魔導学院に劣るから、という単純な理由からではない。
教育機関としての優劣の差なら、イーニシュフェルト魔導学院もラミッドフルス魔導学院も、甲乙つけがたいほどである。
それなのにラミッドフルス魔導学院の方が不人気なのは、ひとえにその校則の厳しさにある。
イーニシュフェルト魔導学院は、学院長シルナ・エインリーの方針により、比較的緩めの…自由な校風が売りとされている。
聞くところによると、学院長の意向で、授業の合間におやつや昼寝の時間を導入することを検討しているらしい。
対するラミッドフルス魔導学院では、絶対に有り得ないことだった。
食堂以外で、水以外の飲食は一切禁じられている。
甘いものも含めて、食堂以外では、学生寮でも何も食べてはいけないのだ。
消灯時間もきっちり決められており、その時間になったら、自動的に灯りが消されてしまう。
消灯時間以降に、部屋の中で起きているのが見つかれば、懲罰の対象になる。
起床時間もまた然り。
普段の学生生活も、少しでも授業中に喋ったり、出された課題や授業の予習をやっていなければ、厳しく叱責された。
そして何より厳しいのが、半年に一度行われる、魔導の実技試験である。
イーニシュフェルト魔導学院にも実技試験はあるが、その目的は、成績表に評価をつける為だ。
けれどラミッドフルスでは、試験とは退学するか否かを決める、非常に重要なものだ。
簡単に言えば、試験の結果が悪ければ、退学させられるのである。
この厳しい措置は、ラミッドフルス魔導学院の最大の特徴でもあった。
イーニシュフェルト魔導学院では、入学した生徒を、無責任に放り出すことはしない。
イーニシュフェルト魔導学院の試験に入学した以上、生徒が卒業するまで、最大限の支援をするのがイーニシュフェルト魔導学院のやり方。
けれどラミッドフルス魔導学院では、学校の基準に達しない者には容赦なかった。
そんな学院でも、国内では最高峰の魔導師養成校であり。
ここを卒業すれば箔がつくと言って、親にとっては理想的な学校だった。
また、学校を卒業した後、聖魔騎士団魔導部隊に入ってからのことを考えると、ラミッドフルス魔導学院の方が良い、と考える者も少なくない。
ラミッドフルスの卒業生は、イーニシュフェルトの卒業生より、出世が早いと言われていた。
学生時代に厳しさに慣れているから、聖魔騎士団に入ってからも、持ち前のストイックさの為に評価されやすいからであった。
強い魔導師に、優しさや甘えなど必要ない。
ただ強さを求める頑なさと、強靭な精神があれば良い。
そう考える者も、一定数いるのである。
実際、聖魔騎士団魔導部隊の大隊長のうち何人か…ルイーシュ・アルテミシアとか…辺りは、自由奔放過ぎて大隊長に相応しくない、という意見も、ない訳ではない。
本人は、気にしていないようだが。
このような意見は、魔導部隊隊長、シュニィ・ルシェリートの、「人は皆、十人十色ですから」という一言で、あっさりとかわされてしまっている。
その点、ラミッドフルスの生徒はあらゆる意味で真面目だった。
そして、そんな真面目な生徒を生み出す為に、ラミッドフルス魔導学院では、このように厳しい制度が敷かれているのだった。
そんなラミッドフルス魔導学院では、教官達も当然厳しいのだが。
厳しい教官達の中でも、特に生徒から恐れられている教官がいた。
それが、イレース・クローリア教官である。
ルーデュニア聖王国、王都セレーナにある、魔導学院の一つである。
ラミッドフルス魔導学院は、国内では、天下のイーニシュフェルト魔導学院の次に優秀な魔導師養成校だと言われている。
国内最高峰の教育機関の一つだが、イーニシュフェルト魔導学院と比べると、入学志願者は少ない。
その理由は、ラミッドフルス魔導学院がイーニシュフェルト魔導学院に劣るから、という単純な理由からではない。
教育機関としての優劣の差なら、イーニシュフェルト魔導学院もラミッドフルス魔導学院も、甲乙つけがたいほどである。
それなのにラミッドフルス魔導学院の方が不人気なのは、ひとえにその校則の厳しさにある。
イーニシュフェルト魔導学院は、学院長シルナ・エインリーの方針により、比較的緩めの…自由な校風が売りとされている。
聞くところによると、学院長の意向で、授業の合間におやつや昼寝の時間を導入することを検討しているらしい。
対するラミッドフルス魔導学院では、絶対に有り得ないことだった。
食堂以外で、水以外の飲食は一切禁じられている。
甘いものも含めて、食堂以外では、学生寮でも何も食べてはいけないのだ。
消灯時間もきっちり決められており、その時間になったら、自動的に灯りが消されてしまう。
消灯時間以降に、部屋の中で起きているのが見つかれば、懲罰の対象になる。
起床時間もまた然り。
普段の学生生活も、少しでも授業中に喋ったり、出された課題や授業の予習をやっていなければ、厳しく叱責された。
そして何より厳しいのが、半年に一度行われる、魔導の実技試験である。
イーニシュフェルト魔導学院にも実技試験はあるが、その目的は、成績表に評価をつける為だ。
けれどラミッドフルスでは、試験とは退学するか否かを決める、非常に重要なものだ。
簡単に言えば、試験の結果が悪ければ、退学させられるのである。
この厳しい措置は、ラミッドフルス魔導学院の最大の特徴でもあった。
イーニシュフェルト魔導学院では、入学した生徒を、無責任に放り出すことはしない。
イーニシュフェルト魔導学院の試験に入学した以上、生徒が卒業するまで、最大限の支援をするのがイーニシュフェルト魔導学院のやり方。
けれどラミッドフルス魔導学院では、学校の基準に達しない者には容赦なかった。
そんな学院でも、国内では最高峰の魔導師養成校であり。
ここを卒業すれば箔がつくと言って、親にとっては理想的な学校だった。
また、学校を卒業した後、聖魔騎士団魔導部隊に入ってからのことを考えると、ラミッドフルス魔導学院の方が良い、と考える者も少なくない。
ラミッドフルスの卒業生は、イーニシュフェルトの卒業生より、出世が早いと言われていた。
学生時代に厳しさに慣れているから、聖魔騎士団に入ってからも、持ち前のストイックさの為に評価されやすいからであった。
強い魔導師に、優しさや甘えなど必要ない。
ただ強さを求める頑なさと、強靭な精神があれば良い。
そう考える者も、一定数いるのである。
実際、聖魔騎士団魔導部隊の大隊長のうち何人か…ルイーシュ・アルテミシアとか…辺りは、自由奔放過ぎて大隊長に相応しくない、という意見も、ない訳ではない。
本人は、気にしていないようだが。
このような意見は、魔導部隊隊長、シュニィ・ルシェリートの、「人は皆、十人十色ですから」という一言で、あっさりとかわされてしまっている。
その点、ラミッドフルスの生徒はあらゆる意味で真面目だった。
そして、そんな真面目な生徒を生み出す為に、ラミッドフルス魔導学院では、このように厳しい制度が敷かれているのだった。
そんなラミッドフルス魔導学院では、教官達も当然厳しいのだが。
厳しい教官達の中でも、特に生徒から恐れられている教官がいた。
それが、イレース・クローリア教官である。