神殺しのクロノスタシス1
「どうした?大丈夫か。疲れたか?」
「あ…いえ」
次の対戦カードまでの待機時間、私はぼんやりと他ペアの試合を眺めていた。
そこにアトラスさんがやって来て、ドリンクを差し出してくれた。
「ありがとうございます」
有り難く受け取り、ドリンクに口をつけた。
と言っても、私は後ろでサポートしているだけだから、そんなに喉が渇く訳ではないのだが。
「次、勝ったらいよいよ決勝だな」
「そうですね。…正直、ここまで来られるとは思ってませんでした」
「そうか?」
トントン拍子と言うか…あまりにもあっさり過ぎると言うか。
もっと苦戦するものかと。
「俺は勝てると思ってたぞ。シュニィは強いからな。俺達に勝てる奴が、そうそういるもんか」
「全くあなたの自信は…何処から来てるんです?」
どうやったら、そんなに無邪気に勝利を確信出来るのか。
そういうところまで愚直なんだから、あなたは。
「それはシュニィがいるからだ。お前がいてくれたら、勝てない相手なんていないと思ってるよ」
「またあなたという人は、そういうことばかり言って」
「本当のことだからな。何度でも言うさ」
…もう。
信頼してくれているのは分かるし、それは嬉しいけど。
でも、同時に、胸が苦しくもなる。
だって私達がこうして、一緒に戦えるのは、もうこれっきり…。
「決勝まで頑張ろう。俺達なら勝てるぞ、シュニィ」
「…えぇ。そうですね」
「…どうした?本当に…疲れたか?」
「いえ…」
別に、疲れてはいない。
そうじゃなくて。
「…決勝なんて、来なければ良いのに」
「え?」
「そうすれば…あなたとこのまま…」
消え入りそうな声は、アトラスさんには聞こえなかった。
「シュニィ…?」
怪訝そうに私の顔を見つめるアトラスさんを見て、私はハッとした。
私と来たら…何を、馬鹿なことを。
「いえ、何でもありません…大丈夫です」
「そうか?…ドリンク、もっと飲むか?」
「あ、いえ…。もう結構です」
前衛で走り回ってるアトラスさんと違って、私はほとんど動いていないし。
すると。
「なら、残りは俺にくれ」
「え、あ」
アトラスさんは私の手からドリンクのボトルを取り、私が口をつけたところに躊躇いなく口をつけ、ごくごくとドリンクを飲んでいた。
あ…あなたという人は。
「…ん?どうした?」
「…何でもありません」
気にする私が細かい。そうですね。
そういうことにしておきましょう。
本当、この人には振り回されてばかりだ…。
と、思っていると。
「…なぁ、シュニィ」
「はい?」
「今日の試験が終わったら、話したいことがあるんだ。試験が済んだら、いつもの…訓練場まで来てくれないか」
「…?分かりました」
話したいこと?…って?
今、話してくれれば良いのに。
アトラスさんのことだから、きっと、これまでありがとうとか…そういうお話だろうな。
…そうね。
「今は、目の前の試合に集中しよう」
「えぇ。そうですね」
私も、あまりそのことは考えないようにしよう。
考えてしまったら…きっと、何も手につかなくなってしまうから。
「あ…いえ」
次の対戦カードまでの待機時間、私はぼんやりと他ペアの試合を眺めていた。
そこにアトラスさんがやって来て、ドリンクを差し出してくれた。
「ありがとうございます」
有り難く受け取り、ドリンクに口をつけた。
と言っても、私は後ろでサポートしているだけだから、そんなに喉が渇く訳ではないのだが。
「次、勝ったらいよいよ決勝だな」
「そうですね。…正直、ここまで来られるとは思ってませんでした」
「そうか?」
トントン拍子と言うか…あまりにもあっさり過ぎると言うか。
もっと苦戦するものかと。
「俺は勝てると思ってたぞ。シュニィは強いからな。俺達に勝てる奴が、そうそういるもんか」
「全くあなたの自信は…何処から来てるんです?」
どうやったら、そんなに無邪気に勝利を確信出来るのか。
そういうところまで愚直なんだから、あなたは。
「それはシュニィがいるからだ。お前がいてくれたら、勝てない相手なんていないと思ってるよ」
「またあなたという人は、そういうことばかり言って」
「本当のことだからな。何度でも言うさ」
…もう。
信頼してくれているのは分かるし、それは嬉しいけど。
でも、同時に、胸が苦しくもなる。
だって私達がこうして、一緒に戦えるのは、もうこれっきり…。
「決勝まで頑張ろう。俺達なら勝てるぞ、シュニィ」
「…えぇ。そうですね」
「…どうした?本当に…疲れたか?」
「いえ…」
別に、疲れてはいない。
そうじゃなくて。
「…決勝なんて、来なければ良いのに」
「え?」
「そうすれば…あなたとこのまま…」
消え入りそうな声は、アトラスさんには聞こえなかった。
「シュニィ…?」
怪訝そうに私の顔を見つめるアトラスさんを見て、私はハッとした。
私と来たら…何を、馬鹿なことを。
「いえ、何でもありません…大丈夫です」
「そうか?…ドリンク、もっと飲むか?」
「あ、いえ…。もう結構です」
前衛で走り回ってるアトラスさんと違って、私はほとんど動いていないし。
すると。
「なら、残りは俺にくれ」
「え、あ」
アトラスさんは私の手からドリンクのボトルを取り、私が口をつけたところに躊躇いなく口をつけ、ごくごくとドリンクを飲んでいた。
あ…あなたという人は。
「…ん?どうした?」
「…何でもありません」
気にする私が細かい。そうですね。
そういうことにしておきましょう。
本当、この人には振り回されてばかりだ…。
と、思っていると。
「…なぁ、シュニィ」
「はい?」
「今日の試験が終わったら、話したいことがあるんだ。試験が済んだら、いつもの…訓練場まで来てくれないか」
「…?分かりました」
話したいこと?…って?
今、話してくれれば良いのに。
アトラスさんのことだから、きっと、これまでありがとうとか…そういうお話だろうな。
…そうね。
「今は、目の前の試合に集中しよう」
「えぇ。そうですね」
私も、あまりそのことは考えないようにしよう。
考えてしまったら…きっと、何も手につかなくなってしまうから。