神殺しのクロノスタシス1
…クラスメイトだった。

クラスメイトの、サナキ・エインリー。

な、何故こんなところに。

ちゃんと、学校からは離れた場所に来ているのに。

と言うか、何で私だと分かったんだ。

「ひ、ひと…。人違いじゃありませんか?お、私はエガルテなんて名前じゃ…」

何とか誤魔化そうと試みたのだが。

「いや…どう見てもエガルテだろ?声めちゃくちゃ低いし…」

しまった。

この格好で、喋っちゃいけないんだった。

声で男だってバレてしまう。

どうするんだ。余計に墓穴を掘って。

何でそんな格好してんの?って絶対言われる。

女装趣味なんかあったんだ、って皆に言い触らされる。

それだけは、何としても阻止しなくては。

「…頼む!皆には内緒にしてくれ!」

「は?」

その「は?」は何の「は?」なのか。

「は?そんなの言い触らすに決まってんじゃん」って意味だったら。

俺はこれから先、どうやって生きていけば良いのか。

「頼む。何でもするから…!」

この際、秘密を守ってくれるのなら、現金でも何でも払う。

すると。

「ちょ、ちょっと待って。何の話?」

「な、何のって…。今、クラスでネタにするつもりでしょ?」

「何を?」

「わ、お、俺が女装癖のある変態だって言い触らし…」

「…何だそれは…。しないよ。そんな悪趣味なこと…」

「え?」

…しないの?

思わず、口をぽかんと開けてしまった。
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