神殺しのクロノスタシス1
こうして、謎のゴスロリ人にゴスロリ布教されたエヴェリカは。

「やっぱり可愛い…」

めちゃくちゃ洗脳されてる。

あの人の罪は重い。

「ずっと着てみたかったんだ。こういう服…」

「あ、そう…」

少女趣味だね君。

女物の服を…とは言ったけど、こんな少女趣味だとは思わなかったよ。

「どうしよう。買っても良いかな?」

「いや…。買うのは良いけど、これ、着て街を歩けるの…?」

「こっちのワンピースとこっちのワンピース、どっちが良いかな」

人の話聞けや。

こういう人にとって大事なのは、その服が似合うかどうか、着て街を歩けるかどうかではない。

買うことが大事なんだ。

そう思った。

正直右のワンピースも左のワンピースも、俺には区別がつかない。

両方ゴスロリだ。

こういうとき、俺がステラか未来になってたら、もっと適切なアドバイスが出来たのかもしれない。

「やっぱりこっちにしようかな…」

正直どっちでも良いから、早く帰りたい。

このゴスロリに満ちた異様な店内から、早く逃げ出したい。

頭の中はそれだけである。

しかし、忘れてはいけない。

女子の買い物は、基本的に男のそれより長いのだということを。
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