神殺しのクロノスタシス1
こいつが、エヴェリカの糞親父。
「お前か。エヴェリカをここまで追い詰めたのは…!」
この場にシルナがいたら、間違いなく慌てて止めに入っただろう。
我ながら、それほどの剣幕だった。
「心身共に跡取り息子じゃなきゃ愛せないってか?あんたが愛してたのは誰だ?え?エガルテか?それとも跡取りの一人息子か?」
男じゃないと愛せないってのか。
男じゃないと大事に出来ないってのか。
男じゃないと価値がないってのか。
俺には、どうしても許せなかった。
シルナは、俺が「誰」であろうと、俺を拒絶したりはしなかった。
シルナだけじゃない。聖魔騎士団の人々は皆、俺が何者であろうとも、俺を受け入れてくれた。
だからこそ、許せなかったのだ。
「気持ち悪いと思うのは仕方ない。突然言われたんだからな。受け入れられないのも仕方ない。でもエヴェリカは、あんたの子だろ?条件がなきゃ自分の子が愛せないのか、あんたは!」
「さ、サナキ君…!」
エヴェリカの父を容赦なく責めまくる俺に、エヴェリカが制止しようとした…。
…そのとき。
「…済まなかった、エガルテ」
「…え?」
俺に散々責めまくられたエヴェリカ父は、エヴェリカに向かって頭を下げた。
な、何を…。
「お前の気持ちを考えず、酷いことを言ってしまった。あれから、冷静になって考えたんだ」
「…」
「突然のこと過ぎて、今は、まだどう受け止めたら良いのか分からない。その子の言う通り、跡継ぎだから大事にして育ててきたことは…否定しない」
そのときの、エヴェリカの顔。
文字通り、捨てられた子供のそれだった。
しかし。
「でも私は、姉達や妹も同じように愛している。性別がどちらであろうと、私は自分の子を愛している」
「…!父上…」
「時間はかかるかもしれないが、私はありのままのお前を受け入れる。本当に…よく打ち明けてくれた。今まで気づいてやれなくて、済まなかった」
…なんという。
素直な親父だ。
貴族の当主というのは、もっと頭がガチガチに固いものかと思っていたのに。
こんなに寛容とは。
「でも…父上。わた、いや…俺がいなかったら、跡継ぎが…」
「跡継ぎなんて、養子を取るなり、婿を取るなりすれば良い。このご時世だ。何なら女系の当主でもかまわない。いくらでも方法はある」
「…!」
「帰ってきてくれ。本当の自分として生きて良い。お前は、私の子なんだから」
「っ、父上…!」
二人は、涙ながらに抱き合った。
…散々責めまくって、悪いことをしてしまったな。
この親子なら、きっとこれから、上手くやっていけるだろう。
「…良かった」
お前はちゃんと、親に愛されてるんだな。
「お前か。エヴェリカをここまで追い詰めたのは…!」
この場にシルナがいたら、間違いなく慌てて止めに入っただろう。
我ながら、それほどの剣幕だった。
「心身共に跡取り息子じゃなきゃ愛せないってか?あんたが愛してたのは誰だ?え?エガルテか?それとも跡取りの一人息子か?」
男じゃないと愛せないってのか。
男じゃないと大事に出来ないってのか。
男じゃないと価値がないってのか。
俺には、どうしても許せなかった。
シルナは、俺が「誰」であろうと、俺を拒絶したりはしなかった。
シルナだけじゃない。聖魔騎士団の人々は皆、俺が何者であろうとも、俺を受け入れてくれた。
だからこそ、許せなかったのだ。
「気持ち悪いと思うのは仕方ない。突然言われたんだからな。受け入れられないのも仕方ない。でもエヴェリカは、あんたの子だろ?条件がなきゃ自分の子が愛せないのか、あんたは!」
「さ、サナキ君…!」
エヴェリカの父を容赦なく責めまくる俺に、エヴェリカが制止しようとした…。
…そのとき。
「…済まなかった、エガルテ」
「…え?」
俺に散々責めまくられたエヴェリカ父は、エヴェリカに向かって頭を下げた。
な、何を…。
「お前の気持ちを考えず、酷いことを言ってしまった。あれから、冷静になって考えたんだ」
「…」
「突然のこと過ぎて、今は、まだどう受け止めたら良いのか分からない。その子の言う通り、跡継ぎだから大事にして育ててきたことは…否定しない」
そのときの、エヴェリカの顔。
文字通り、捨てられた子供のそれだった。
しかし。
「でも私は、姉達や妹も同じように愛している。性別がどちらであろうと、私は自分の子を愛している」
「…!父上…」
「時間はかかるかもしれないが、私はありのままのお前を受け入れる。本当に…よく打ち明けてくれた。今まで気づいてやれなくて、済まなかった」
…なんという。
素直な親父だ。
貴族の当主というのは、もっと頭がガチガチに固いものかと思っていたのに。
こんなに寛容とは。
「でも…父上。わた、いや…俺がいなかったら、跡継ぎが…」
「跡継ぎなんて、養子を取るなり、婿を取るなりすれば良い。このご時世だ。何なら女系の当主でもかまわない。いくらでも方法はある」
「…!」
「帰ってきてくれ。本当の自分として生きて良い。お前は、私の子なんだから」
「っ、父上…!」
二人は、涙ながらに抱き合った。
…散々責めまくって、悪いことをしてしまったな。
この親子なら、きっとこれから、上手くやっていけるだろう。
「…良かった」
お前はちゃんと、親に愛されてるんだな。