神殺しのクロノスタシス1
「シルナから離れろ…。どういう意味だ?」
「言葉通りの意味だ」
エヴェリカ…だった者は、何処か遠くを見つめていた。
まるで、過去に思いを馳せているかのように…。
「お前は、人間の振りをしているに過ぎない私が…『エヴェリカ』が偽者であることに気づいていながら、本気でエヴェリカと共に悩み、怒り、心の底から助けようとしてくれた」
「…それは…」
「その姿を見ていたからこそ分かる。お前は善良な人間だ。優しい人間だ。…だからこそ、これ以上シルナ・エインリーの下で、魂を穢す必要はないんだ」
…。
「あの男がお前達のような、優秀な魔導師を集めているのは、何故だと思う?」
「何故って…。それは、ルーデュニア聖王国を守る為に」
「そんなものは建前だ。本当の理由は違う」
シルナが聖魔騎士団を作った、本当の理由。
それは、ルーデュニアや、フユリ様を守る為ではなく…。
「…いつか来るであろう、禍なる者の復活に対抗する為なんだろう?」
…俺だって、伊達にシルナと長く共に生きてきた訳じゃない。
その辺りの事情は、大体察している。
お互い、その話題は避けるようにしていたけれど。
「その為に、自分に付き従う戦力を増やしてる。聖魔騎士団を作ったのは、そういう理由だ」
「…知っていたのか」
「…あれだけ長く、一緒にいればな」
嫌でも気づくよ。
シュニィやアトラスや、吐月達は気づいていないのかもしれない。
シルナの、綺麗な部分しか見たことがないのだから。
でも、俺は違う。
シルナの、後ろ暗いところを知ってる。
一番シルナの近くにいた、俺だからこそ…。
…いや。
あくまでも、俺は二番目だ。
一番シルナの近くにいたのは…俺じゃなくて…多分、俺のオリジナル…。
「…知っているなら話は早い。今すぐに、シルナ・エインリーから離れるんだ」
「この期に及んで、逃げる訳がないだろ。例え禍なる者が復活しようとも、聖魔騎士団が命を懸けて…」
「…違う」
エヴェリカは、静かに首を横に振った。
…違う?
「あの男は、お前達が思ってるほど甘くはない」
「…何だと?」
「かつて世界が禍なる者に呑まれ、混沌の時代に陥ったとき…。聖なる神と禍なる神が対峙したとき、あのシルナ・エインリーが何をしたか…。お前達は、何も知らされていないんだ」
…。
…聞いてはいけない。
これ以上聞いたら、俺は…。
「あの男にだけは協力してはいけない。彼が自分の周りに仲間を集めているのは、彼らと協力して禍なる者を倒す為ではなく、彼らを…」
「…黙れよ」
「言葉通りの意味だ」
エヴェリカ…だった者は、何処か遠くを見つめていた。
まるで、過去に思いを馳せているかのように…。
「お前は、人間の振りをしているに過ぎない私が…『エヴェリカ』が偽者であることに気づいていながら、本気でエヴェリカと共に悩み、怒り、心の底から助けようとしてくれた」
「…それは…」
「その姿を見ていたからこそ分かる。お前は善良な人間だ。優しい人間だ。…だからこそ、これ以上シルナ・エインリーの下で、魂を穢す必要はないんだ」
…。
「あの男がお前達のような、優秀な魔導師を集めているのは、何故だと思う?」
「何故って…。それは、ルーデュニア聖王国を守る為に」
「そんなものは建前だ。本当の理由は違う」
シルナが聖魔騎士団を作った、本当の理由。
それは、ルーデュニアや、フユリ様を守る為ではなく…。
「…いつか来るであろう、禍なる者の復活に対抗する為なんだろう?」
…俺だって、伊達にシルナと長く共に生きてきた訳じゃない。
その辺りの事情は、大体察している。
お互い、その話題は避けるようにしていたけれど。
「その為に、自分に付き従う戦力を増やしてる。聖魔騎士団を作ったのは、そういう理由だ」
「…知っていたのか」
「…あれだけ長く、一緒にいればな」
嫌でも気づくよ。
シュニィやアトラスや、吐月達は気づいていないのかもしれない。
シルナの、綺麗な部分しか見たことがないのだから。
でも、俺は違う。
シルナの、後ろ暗いところを知ってる。
一番シルナの近くにいた、俺だからこそ…。
…いや。
あくまでも、俺は二番目だ。
一番シルナの近くにいたのは…俺じゃなくて…多分、俺のオリジナル…。
「…知っているなら話は早い。今すぐに、シルナ・エインリーから離れるんだ」
「この期に及んで、逃げる訳がないだろ。例え禍なる者が復活しようとも、聖魔騎士団が命を懸けて…」
「…違う」
エヴェリカは、静かに首を横に振った。
…違う?
「あの男は、お前達が思ってるほど甘くはない」
「…何だと?」
「かつて世界が禍なる者に呑まれ、混沌の時代に陥ったとき…。聖なる神と禍なる神が対峙したとき、あのシルナ・エインリーが何をしたか…。お前達は、何も知らされていないんだ」
…。
…聞いてはいけない。
これ以上聞いたら、俺は…。
「あの男にだけは協力してはいけない。彼が自分の周りに仲間を集めているのは、彼らと協力して禍なる者を倒す為ではなく、彼らを…」
「…黙れよ」