神殺しのクロノスタシス1
そんな僕が初めて外に出たのは、小学校入学がきっかけだった。

保育園にも幼稚園にも行っていなかったが、さすがに小学校は義務教育なので、行かせない訳にはいかなかった。

僕は小学校に入って初めて、集団生活というものを学んだ。

普通の子なら、保育園や幼稚園で培っているものを、僕は何も持っていなかった。

これまでずっと、家の中でボーッと過ごしている時間が長かったから。

外に出て、学校に行って勉強するというのは、僕にとってとても新鮮で、そして慣れないことだった。

新しい生活に適応するまで、僕は一年かかった。

当然、その一年の間に、周りの子達は仲良しグループを作っていた。

集団生活に適応するのに精一杯だった僕は、そのグループに入ることは出来なかった。

僕一人だけ、何処のグループにも入れず、一人ぼっちだった。

これまでも家の中でずっと一人ぼっちだったのに、学校でも一人ぼっちとは。

しかも、学校にはこんなにたくさんの人がいるのに。

周りにたくさんの人がいるのに、僕だけが一人ぼっちなんて、何だか奇妙な話だ。

小学校に入ってから、僕の生活は劇的に変化した。

そしてそれは、家庭でも同じだった。

小学校に入ってしばらくたってからだ。あの男が、我が家に出入りするようになったのは。
< 595 / 669 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop