神殺しのクロノスタシス1
家庭では散々だった僕だが、学校では、割と優等生に分類されていた。

僕の魔導適性は、クラスメイトと比べてもかなり高かった。

魔導師でない僕の両親は、僕の魔導師としての成績なんて、どうでも良かったようだが。

むしろ、変なインチキ学校で怪しい勉強してる、と眉をひそめていた。

インチキと言われようが、僕は魔導師としての勉強が楽しかった。

家で居心地の悪い時間を過ごしていたぶん、学校での時間は僕にとって、安らぎとも言えた。

魔導理論の勉強は純粋に楽しかったし、勉強すればするほど、知的探求心をそそられた。

中学生になったら、もっと本格的な魔導師養成学校に通って、将来は魔導師になろう。

そして、憧れの聖魔騎士団魔導部隊に入るのだ。

そうすれば、家族とも離れられるという打算もあった。

幼いながらに、僕はこの家から逃げ出したいと思っていたのだった。

両親はきっと、僕が魔導師になりたいと言えば、難色を示すだろう。

二人が魔導師のことを良く思っていないのは、明らかだったから。

魔導適性がなく、身内に魔導師がいない家庭では、仕方ないとも言える。

インチキ占い師のように思われても、無理もないと思う。

今でこそ、聖魔騎士団魔導部隊と言えば、国を守る屈強な戦士のように称えられているが。

それは、イーニシュフェルト魔導学院学院長、シルナ・エインリー魔導師と、彼を支持するフユリ・スイレン女王陛下の後押しがあってのこと。

二人の助力がなければ、今でも魔導師は、インチキ占い師だと誤解されていたかもしれない。

いや、二人の献身的な努力があっても、一部の人間はまだ魔導師について、誤解している者もいる。

人智を越えた力というのは、そういうものだ。

持たざる者にとっては、怪しげなまじないでしかない。

だが、当時の僕にとっては、両親が魔導師に対してどのような偏見を抱いていようが、どうでも良いことだった。

そう思いたいなら、勝手に思っていれば良い。

その間に、僕は立派な魔導師になってみせる。

そう思っていた。
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