神殺しのクロノスタシス1
まさか自分の家に、イーニシュフェルト魔導学院の学院長が訪ねてくるとは。
一体何があって、そんなことになったのか。
頭がパニックになりながらも、僕は学院長に家に上がってもらった。
「いやぁ、ごめんねいきなり訪ねてきちゃって」
「い、いえ…」
シルナ・エインリー学院長と言えば、魔導を志す者なら誰もが知る、伝説の魔導師に等しい。
こんな偉い人が、僕の目の前にいる。
緊張して、言葉が出てこなかった。
「…それで、エリュティア君」
「は、はい」
「つかぬことを聞くけど、エリュティア君は春から、何処の学校に進学するのかな」
「…!」
何処の学校に…って。
それは…。
「…地元の、公立中学校に通うつもりです」
僕は俯いたまま、そう呟いた。
あまりの悔しさと無念に、涙が溢れそうになった。
「そこには、魔導師養成クラスはあるのかな」
「…ありません」
「…つまり、魔導師になる道は諦めるってこと?」
…地元の公立中学校に…魔導師養成校じゃない、普通校に通うということは、そういうことだ。
「…」
でも、僕は答えられなかった。
魔導師になる夢を、まだ捨てたくなかったから。
「…君は優秀な成績で、イーニシュフェルト魔導学院に合格した。それなのに、直前になって入学辞退…。ラミッドフルス魔導学院を選んだのかと思って調べたら、それも違う。これはおかしいと思って…話を聞きに来たんだ」
学院長は、静かにそう言った。
…まさか。
わざわざ入学辞退者を心配して、家まで訪ねてきてくれるなんて。
「君のその様子だと…イーニシュフェルトを入学辞退したのは、君の本意ではないんだね?」
「…はい」
消え入りそうな声で、僕は答えた。
そうだ。僕はイーニシュフェルト魔導学院に入りたい。
その為に必死に頑張って、そして報われたはずだったのだ。
それなのに。
身勝手な両親のせいで、将来まで台無しにされようとしている。
「理由を聞いても良いかな」
「…両親に…反対されて…」
「ご両親に…。入学試験のときは反対しなかったの?」
「まさか、本当に合格するとは思っていなかったみたいで…」
「成程…」
学院長は、顎に手を当てて少し考え。
そして、僕に向かってこう尋ねた。
「…君は、イーニシュフェルト魔導学院に来たいかい?」
「…!それは…」
「正直に言いなさい。イーニシュフェルト魔導学院に入って、魔導師になりたいかい?」
この質問に、答えてはいけない。
だって僕は逃げられなくて。この家にずっと閉じ込められて…。
夢なんて見ても、また絶望に突き落とされるだけで…。
でも僕は。
それでも…。
一体何があって、そんなことになったのか。
頭がパニックになりながらも、僕は学院長に家に上がってもらった。
「いやぁ、ごめんねいきなり訪ねてきちゃって」
「い、いえ…」
シルナ・エインリー学院長と言えば、魔導を志す者なら誰もが知る、伝説の魔導師に等しい。
こんな偉い人が、僕の目の前にいる。
緊張して、言葉が出てこなかった。
「…それで、エリュティア君」
「は、はい」
「つかぬことを聞くけど、エリュティア君は春から、何処の学校に進学するのかな」
「…!」
何処の学校に…って。
それは…。
「…地元の、公立中学校に通うつもりです」
僕は俯いたまま、そう呟いた。
あまりの悔しさと無念に、涙が溢れそうになった。
「そこには、魔導師養成クラスはあるのかな」
「…ありません」
「…つまり、魔導師になる道は諦めるってこと?」
…地元の公立中学校に…魔導師養成校じゃない、普通校に通うということは、そういうことだ。
「…」
でも、僕は答えられなかった。
魔導師になる夢を、まだ捨てたくなかったから。
「…君は優秀な成績で、イーニシュフェルト魔導学院に合格した。それなのに、直前になって入学辞退…。ラミッドフルス魔導学院を選んだのかと思って調べたら、それも違う。これはおかしいと思って…話を聞きに来たんだ」
学院長は、静かにそう言った。
…まさか。
わざわざ入学辞退者を心配して、家まで訪ねてきてくれるなんて。
「君のその様子だと…イーニシュフェルトを入学辞退したのは、君の本意ではないんだね?」
「…はい」
消え入りそうな声で、僕は答えた。
そうだ。僕はイーニシュフェルト魔導学院に入りたい。
その為に必死に頑張って、そして報われたはずだったのだ。
それなのに。
身勝手な両親のせいで、将来まで台無しにされようとしている。
「理由を聞いても良いかな」
「…両親に…反対されて…」
「ご両親に…。入学試験のときは反対しなかったの?」
「まさか、本当に合格するとは思っていなかったみたいで…」
「成程…」
学院長は、顎に手を当てて少し考え。
そして、僕に向かってこう尋ねた。
「…君は、イーニシュフェルト魔導学院に来たいかい?」
「…!それは…」
「正直に言いなさい。イーニシュフェルト魔導学院に入って、魔導師になりたいかい?」
この質問に、答えてはいけない。
だって僕は逃げられなくて。この家にずっと閉じ込められて…。
夢なんて見ても、また絶望に突き落とされるだけで…。
でも僕は。
それでも…。