神殺しのクロノスタシス1
何だか、おかしな感じがするなぁ、とは思っていたのだ。
でも、まさか白昼堂々現れるとは思っていなかった。
「…」
少しだけ寮のベッドで寝て、目を覚ましたら、枕元に男が立っていた。
全く見知らぬ男だ。
制服を着ていないから、多分イーニシュフェルト魔導学院の生徒ではない。
それどころか…人間ですらない。
「…夜這い?」
夜じゃないけど。
彼は私の野次には乗らず、ただ私をじっと見つめ。
「…お前が、ヘルヘイムの見初めた魔導師か」
と言った。
ヘルヘイムの…。懐かしい名前だね。
「あなたも、『禁忌の黒魔導書』なの?」
彼から感じる邪悪な魔力。
それは、『禁忌の黒魔導書』のものだ。
そして、彼はあっさりとそれを認めた。
「そうだ。同志達は皆シルナ・エインリーとその手先に敗れ、最早、残るはこの一冊のみ」
そうなんだ。
『禁忌の黒魔導書』も大変なんだね。
「その残りの一冊のあなたは、何をするの?大人しく自首しに来たの?」
もしそうだとしたら、こんなに有り難いことはない。
私達を煩わせている当面の問題が、綺麗さっぱり解決する。
今日は私も頭痛が酷いし、面倒なことには巻き込まれたくない。
と、思っていたのに。
そう簡単には行かないようで。
「いいや。お前を利用しに来た」
「あなたも、ヘルヘイムと同じことをするの」
「お前を使えば、シルナ・エインリーに対する人質にもなる」
成程。確かに。
「でも、私はあなたに利用されるのは嫌だよ」
「お前に拒否権はない。無理矢理にでも…お前の中に侵食する」
そう言うなり、『禁忌の黒魔導書』は殺気を迸らせた。
私も応戦しようとしたが、あまりの頭痛の酷さに、思考がまとまらなかった。
まずは助けを呼ばなくては。
いや、その前に私の魔法で…。
痛む頭で必死に考えている隙に、禁書は私に肉薄した。
それを避ける前に、彼は私の胸に手を突き刺した。
その瞬間。
でも、まさか白昼堂々現れるとは思っていなかった。
「…」
少しだけ寮のベッドで寝て、目を覚ましたら、枕元に男が立っていた。
全く見知らぬ男だ。
制服を着ていないから、多分イーニシュフェルト魔導学院の生徒ではない。
それどころか…人間ですらない。
「…夜這い?」
夜じゃないけど。
彼は私の野次には乗らず、ただ私をじっと見つめ。
「…お前が、ヘルヘイムの見初めた魔導師か」
と言った。
ヘルヘイムの…。懐かしい名前だね。
「あなたも、『禁忌の黒魔導書』なの?」
彼から感じる邪悪な魔力。
それは、『禁忌の黒魔導書』のものだ。
そして、彼はあっさりとそれを認めた。
「そうだ。同志達は皆シルナ・エインリーとその手先に敗れ、最早、残るはこの一冊のみ」
そうなんだ。
『禁忌の黒魔導書』も大変なんだね。
「その残りの一冊のあなたは、何をするの?大人しく自首しに来たの?」
もしそうだとしたら、こんなに有り難いことはない。
私達を煩わせている当面の問題が、綺麗さっぱり解決する。
今日は私も頭痛が酷いし、面倒なことには巻き込まれたくない。
と、思っていたのに。
そう簡単には行かないようで。
「いいや。お前を利用しに来た」
「あなたも、ヘルヘイムと同じことをするの」
「お前を使えば、シルナ・エインリーに対する人質にもなる」
成程。確かに。
「でも、私はあなたに利用されるのは嫌だよ」
「お前に拒否権はない。無理矢理にでも…お前の中に侵食する」
そう言うなり、『禁忌の黒魔導書』は殺気を迸らせた。
私も応戦しようとしたが、あまりの頭痛の酷さに、思考がまとまらなかった。
まずは助けを呼ばなくては。
いや、その前に私の魔法で…。
痛む頭で必死に考えている隙に、禁書は私に肉薄した。
それを避ける前に、彼は私の胸に手を突き刺した。
その瞬間。