神殺しのクロノスタシス1
…まさか。
…身体の中に邪神を宿して、正気でいられるなんて。
化け物か、この子は。
邪神の依り代、どころではない。
二十音は、逆に邪神を飼い慣らそうとしているのである。
「そんなことが…」
「…しーちゃん…」
二十音は、掠れる声で私を呼んだ。
身体の中で、自身の魔力と邪神の魔力がぶつかり合って、酷い苦痛を味わっているに違いないのに。
それなのに、二十音は安心しきった目で私を見ていた。
しーちゃんが、傍にいるから大丈夫。
そうとでも言いたそうな目だった。
「…君は、どうしてそんなに私を信用出来るんだ」
…そんな目で、私を見ないでくれ。
「私は君を騙しているんだ。利用しているんだ。君に邪神を降ろして、依り代の君ごと殺そうとしてるんだ」
私は、汚い人間だ。
「君をあの地下牢から救い出したのは、そういう理由なんだ。私はただ、邪神を殺す為に君を利用して…」
己の使命の為なら、何でも利用し、騙し、平気で裏切る。
そんな人間を、どうして君は。
「…しーちゃん」
二十音は、苦しみながらも無邪気に笑って。
私の手を、ぎゅっと握った。
「…一人にしないよ」
…身体の中に邪神を宿して、正気でいられるなんて。
化け物か、この子は。
邪神の依り代、どころではない。
二十音は、逆に邪神を飼い慣らそうとしているのである。
「そんなことが…」
「…しーちゃん…」
二十音は、掠れる声で私を呼んだ。
身体の中で、自身の魔力と邪神の魔力がぶつかり合って、酷い苦痛を味わっているに違いないのに。
それなのに、二十音は安心しきった目で私を見ていた。
しーちゃんが、傍にいるから大丈夫。
そうとでも言いたそうな目だった。
「…君は、どうしてそんなに私を信用出来るんだ」
…そんな目で、私を見ないでくれ。
「私は君を騙しているんだ。利用しているんだ。君に邪神を降ろして、依り代の君ごと殺そうとしてるんだ」
私は、汚い人間だ。
「君をあの地下牢から救い出したのは、そういう理由なんだ。私はただ、邪神を殺す為に君を利用して…」
己の使命の為なら、何でも利用し、騙し、平気で裏切る。
そんな人間を、どうして君は。
「…しーちゃん」
二十音は、苦しみながらも無邪気に笑って。
私の手を、ぎゅっと握った。
「…一人にしないよ」