神殺しのクロノスタシス1
「…愚か者共め」
私達のやり取りを黙って聞いていたベリクリーデちゃん…聖なる神は、杖を向ける私達を軽蔑の眼差しで見た。
「飼い犬は、所詮飼い犬という訳か。愚かにも私に牙を剥くとは…。最早、救いようがない」
正義の道を行くなら、この選択は間違っている。
でも私の教え子達は、その正義の道に背を向け、私を選んでくれた。
こんなに嬉しいことはない。
自分の積み上げてきたものが、無駄ではなかったのだと思った。
「…ならば、飼い主ごと葬るだけだ」
ベリクリーデちゃんは、私達をまとめて葬り去るつもりだ。
…だが。
「…そんなことはさせない」
私は二十音を守る為に生きてきた。
その為の魔法を、ずっと研究してきた。
神殺しの、魔法を。
「…皆、私に力を貸して欲しい」
私がそう言うと、私の教え子、仲間達は、迷うことなく頷いてくれた。
本当は、この魔法は邪神を討ち滅ぼす為に使うつもりだった。
それをまさか、聖なる神に対して使うことになるとは。
このことを知れば、イーニシュフェルトの里の皆は、私を許さないだろうな。
でも、今の私は。
「…愛する者を、守りたいんだ」
愛する者、たった一人の命。
それは、世界の全ての命よりも重い。
そして、今や私の守りたいものは、二十音だけではない。
イーニシュフェルト魔導学院の生徒達。
そこから巣立っていた卒業生達。
それだけじゃない、ルーデュニア聖王国の人々も。
私には背負うものがある。
守るべきものがある。
守りたいものがある。
そして、その中には当然。
「…君も含まれてるんだよ、ベリクリーデちゃん」
「…戯言を」
ベリクリーデちゃんの身体を乗っ取った聖なる神は、両手に魔力を溜めた。
あれが爆発すれば、この辺り一帯が消し飛ぶだろう。
「滅びよ、悪の手先共」
「…そうはさせない」
これをやってしまえば、私はもう二度と戻れない。
二度と、イーニシュフェルトの里の皆に顔向け出来ない。
でも。
それでも私は。
「…知ってしまったんだ。愛を…」
運命を変える感情を。
だから、ここで終わらせはしない。
「…゙悪魔は神を穿づ」
例え、この身が朽ち果てようとも。
私達のやり取りを黙って聞いていたベリクリーデちゃん…聖なる神は、杖を向ける私達を軽蔑の眼差しで見た。
「飼い犬は、所詮飼い犬という訳か。愚かにも私に牙を剥くとは…。最早、救いようがない」
正義の道を行くなら、この選択は間違っている。
でも私の教え子達は、その正義の道に背を向け、私を選んでくれた。
こんなに嬉しいことはない。
自分の積み上げてきたものが、無駄ではなかったのだと思った。
「…ならば、飼い主ごと葬るだけだ」
ベリクリーデちゃんは、私達をまとめて葬り去るつもりだ。
…だが。
「…そんなことはさせない」
私は二十音を守る為に生きてきた。
その為の魔法を、ずっと研究してきた。
神殺しの、魔法を。
「…皆、私に力を貸して欲しい」
私がそう言うと、私の教え子、仲間達は、迷うことなく頷いてくれた。
本当は、この魔法は邪神を討ち滅ぼす為に使うつもりだった。
それをまさか、聖なる神に対して使うことになるとは。
このことを知れば、イーニシュフェルトの里の皆は、私を許さないだろうな。
でも、今の私は。
「…愛する者を、守りたいんだ」
愛する者、たった一人の命。
それは、世界の全ての命よりも重い。
そして、今や私の守りたいものは、二十音だけではない。
イーニシュフェルト魔導学院の生徒達。
そこから巣立っていた卒業生達。
それだけじゃない、ルーデュニア聖王国の人々も。
私には背負うものがある。
守るべきものがある。
守りたいものがある。
そして、その中には当然。
「…君も含まれてるんだよ、ベリクリーデちゃん」
「…戯言を」
ベリクリーデちゃんの身体を乗っ取った聖なる神は、両手に魔力を溜めた。
あれが爆発すれば、この辺り一帯が消し飛ぶだろう。
「滅びよ、悪の手先共」
「…そうはさせない」
これをやってしまえば、私はもう二度と戻れない。
二度と、イーニシュフェルトの里の皆に顔向け出来ない。
でも。
それでも私は。
「…知ってしまったんだ。愛を…」
運命を変える感情を。
だから、ここで終わらせはしない。
「…゙悪魔は神を穿づ」
例え、この身が朽ち果てようとも。