聖女様のお世話係として召喚されました。が、聖女様不在なのですが……?
優しい言葉をかけられて、ぼろぼろと涙が溢れてくる。


子供のように泣きじゃくる私を、ルイ様は遠慮がちに抱きしめてくれた。

優しく背中をさすりながら。

「泣きたい時は泣いたらいい
泣き疲れるまで。
思いっきり泣くといい」

『うっ、でも、ルイ様』

感情が昂り、涙を止めることができない。
ルイ様に迷惑をかけてしまう。
このままでは…

『ルイ様、うっ、汚れてしまいます…』

ルイ様から離れようとその胸を軽く押す

けれども、ビクともしなかった

『ルイ様…?』

「大丈夫だ。このまま、もう少し」

そう言って抱きしめる手が緩められることはなかった。


ルイ様に寄りかかってしまう

私の顔は、今とても見苦しい状態だと思う

でも、どうしようもなく

涙が枯れるまで

ずっと

泣きじゃくっていた。

どのくらい泣いていたのだろう。



顔をうずめた胸からは、トクントクントクンと、ルイ様の心臓の音が聞こえる


とても心地よい音だった


「少しは落ち着いたか?」

涙が収まってくると、瞼が腫れているを感じる。
泣き腫らした今の顔は、きっと酷い顔だ。

『うっ、は、はい…じゅみません…私ひどい顔です…見ないでください』


私は両手で顔を覆い隠す

『えぇっ、なに…?』


「サヤカの嫌がることはしたくない。顔を見ないようにする為だ」

持ち上げられたと認識した時には、
ルイ様にいわゆるお姫様抱っこをされた状態だった。

その状態のまま部屋まで運ばれると、
すとんとベッドに横たえられた。


「今日はこのまま休むといい。
また明日話そう。おやすみサヤカ」

丁寧に布団をかけられた後に、
チュッと額にルイ様の柔らかい唇が触れた気がする。

その瞬間ドクンと心臓が跳ね上がった

『お、おやすみなさい…ルイ様』


ただただ恥ずかしくて両手で顔を隠すことしかできなかった。

そんな私は耳まで真っ赤に染まっていた


✳︎✳︎✳︎

(お読みいただきありがとうございます!)

ちょっぴり大人向けのR18バージョン次話は※の回へお願いします

苦手な方このまま次話へお願いしますm(_ _)m



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