ひとりぼっちのラブソング

そのあと、着替え終わったわたしはシャワーから上がってきた凌さんに「また遊びに来ていいですか?」と訊いた。

凌さんはタオルでワシワシと髪の毛を拭くと「店になら来ていい。」と言った。

「えー、家はダメなんですかぁ?」
「ダメだ。今日は誕生日だって言うから、特別に連れてきただけ。」

わたしは凌さんの言葉に少し寂しく感じ、わざと口を尖らせて見せた。

「そんな顔してもダメだ。」
「でも、お店になら会いに行っていいってことですよね?」
「え、、、それは、まぁ、、、。」
「じゃあ、お店に会いに行きます!」

わたしはそう言うと、「今日はわたしのワガママをきいてくれて、ありがとうございました!」と言い、凌さんの家をあとにした。


そして、実家である自宅に着いたのは21時過ぎだった。

「ただいまぁ〜。」とリビングに入ると、キッチンに立つお母さんと、ソファーに座り缶ビールを飲むお父さんがいた。

「おかえりぃ。誕生日にこんな時間までどこ行ってたの?もしかして、デート?」

楽しそうにそう訊くお母さん。

そのお母さんとは真逆に、「デ、デートォ?!か、か、か、彼氏出来たのか?!」と慌てる驚くお父さん。

「お父さん、天音だってもう20歳よ?天音にだって、彼氏の1人や2人居てもおかしくないじゃない!」
「いや、彼氏が2人居るのはおかしいだろ!」
「あ、それもそうね。」

また夫婦漫才みたいな会話をしてる両親を横目に「お風呂入ってくるね〜。」とお風呂へ向かうわたし。

そして湯船に浸かりながら、わたしは凌さんとのひと時をゆっくりと思い出したのだった。

< 14 / 35 >

この作品をシェア

pagetop