ひとりぼっちのラブソング

わたしは凌さんが戻って来ないかを確認してから、静かに瀬戸くんに駆け寄って行った。

「凌さんって、何でいつも悲しい歌ばかり歌ってるのかなぁ?」

わたしの言葉に、瀬戸は「あぁ、、、。」と意味深に感じで複雑な表情を浮かべた。

「何か知ってるの?」
わたしがそう訊くと、瀬戸くんは凌さんが戻ってきていないことを横目で確認してから小声で話し始めた。

「凌さん、5年前に婚約者を亡くしてるんですよ。」
「えっ?」
「美津希さんってゆう人だったんですけど、凌さんは初めて自分から惚れた女性だって言ってました。凄く大切にしていたんですけど、美津希さん元々持病があって、それがあって5年前に亡くなってしまって、、、。それからです、凌さんが笑わなくなってしまったのは。」

瀬戸くんの話にわたしは言葉を失った。

5年前に大切な人を亡くしていただなんて、、、
最愛の人を亡くして、まだまだ悲しみのどん底にいるんだなぁと思った。

凌さんは、悲しい歌しか歌わないんじゃない。
悲しい歌しか歌えないんだと、わたしは気付いた。

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