ひとりぼっちのラブソング

その日、自宅に帰宅したわたしはリビングには顔を出さず、自分の部屋がある2階に上がった。

すると、リビングから顔を出したお母さんが「天音〜、ご飯は〜?」と訊いてきた。
わたしが「食欲なーい。」と返事をすると、下からまた両親の会話が聞こえてきた。

「天音、食欲ないんですって。彼氏と何かあったのかしら。」
「もしかしたら、別れたんじゃないか?!」
「何、お父さん嬉しそうなのよ!娘が元気ないのよ?!そんなんだからハゲるのよ!」
「それは関係ないだろ〜!」

わたしは両親の会話を聞き流し、部屋にこもった。

そしてベッドに寝転がり、凌さんのことを考える。

凌さんの傷ついた心を、ぽっかりと空いた穴を埋めることがわたしに出来るだろうか。
何をしたら、凌さんは笑ってくれるようになるんだろうか。

凌さんには、笑って欲しい。
明るい歌も歌って欲しい。

美津希さんの代わりは無理かもしれないけど、わたしが凌さんの隣に居られるような存在になりたい。

わたしはそのことばかり考えていて、その夜はなかなか寝付くことが出来なかった。


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