ひとりぼっちのラブソング

「弁当?」
「はい、わたしの手作りです!」

わたしはそう言うと、レジ横から丸椅子を持ってきて座り、カウンターの上で保冷バッグを開き、お弁当を2つ取り出した。

「へぇ、天音ちゃん、料理出来るんだね。」
「出来るって程でもないですけど、それなりに、、、。」

そう言いながら、わたしは片方のお弁当を凌さんの目の前に置いた。

そして、少し不安に感じながらも「どうぞ!」と割り箸を差し出した。

凌さんは横向きになっていた身体を、こちらに向けると、手を合わせ「じゃあ、いただきます。」と言い、割り箸を綺麗に割った。

それからお弁当箱の蓋を開け、中身を見て「ちゃんと弁当だなぁ。」と意地悪を言って、わたしを怒らせようとしていた。

「もう!、、、あ、食べる前に確認なんですけど!」

お弁当に手をつけようとしていた凌さんにわたしは言った。

「玉子焼きって、甘い派ですか?塩っぱい派ですか?」

わたしが恐る恐るそう訊くと、凌さんは「んー、甘い方が好きかな。」と答えた。

「良かったー!わたしも甘い方が好きで甘く作ってきたんで、それが心配だったんです!男の人って、塩っぱい玉子焼きが好きなイメージがあったんで。」

凌さんの答えを聞けて安心したわたしは、再び「どうぞ。」と言った。

再度「いただきます。」と言う凌さんは、玉子焼きを箸でつかみ、口へ運んだ。

わたしの味が凌さんの口に合うか心配で、わたしは凌さんの反応をずっと見つめていた。
凌さんはわたしの方を向くと一言「旨い。」と言ってくれた。

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