ひとりぼっちのラブソング

わたしは、あのときと同じように凌さんの後ろを歩いた。
凌さんは背が高くスラッとしている。

わたしはその後ろ姿を眺めながら、凌さんの自宅までついて行った。

「どうぞ。」

凌さんの自宅に到着すると、ドアを開け、中へ入るよう促してくれた。

久しぶりの凌さんの家。
わたしは「お邪魔します。」と言うと、靴を脱いで中へ入り、部屋の中央あたりで立ち止まった。

凌さんは部屋に上がると、ベッドに腰を掛け、わたしに「座って。」と声を掛けてくれた。

そしてわたしは、凌さんの隣にゆっくりと腰を掛けた。

しばらくの間、沈黙が続いたが、その沈黙を破ったのは凌さんだった。

「天音ちゃん、ごめんね、、、。あの時は、酷いこと言って。」
凌さんは俯きながら、そう言った。

「いえ、わたしも余計なことを言ってしまったので、、、すいませんでした。」
「いや、天音ちゃんは何も悪くないよ。」

そのあと、また沈黙になり、わたしは少し顔を上げた。

すると、ギターが3本並ぶ横に小さな棚があり、その上に写真が飾られているのが見えた。

その写真には、わたしの見たことのない表情を浮かべる笑顔の凌さんと、綺麗な女性が写っていた。
きっとあの綺麗な女性が美津希さんなんだろう。

わたしはそう思うと、写真から目を逸らせた。

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