ひとりぼっちのラブソング

すると、凌さんが話し始めた。

「俺、天音ちゃんにもう店には来るな、なんて言っておきながら、、、いざ、天音ちゃんが来なくなったら、、、なんて言うか、心にぽっかり穴が空いたように寂しくなってさ。」
「えっ、、、」

凌さんの言葉に驚くわたし。
わたしが来なくて、寂しかった?凌さんが?と信じられない気持ちだった。

「来るなって言っても、もしかしたら、また来てくれるんじゃないかって、天音ちゃんを待ってる自分が居た。正直、最初は天音ちゃんを美津希と重ねて見てたんだ、、、似てるところがあったから。」
「わたしと、美津希さんがですか?」
「うん、、、明るくて前向きなところとか、甘い玉子焼きを作ってくれるところとか、ちょっと雰囲気も似てるし、、、それと、"愛を込めて花束を"が好きだってところも。美津希もあの曲が好きで、俺が弾くギターに乗せてよく歌を歌ってたんだ。だから、美津希が戻って来てくれた気がして、あの時は嬉しかった。」

凌さんはそう言うと立ち上がり、小さな棚の前まで行くと、飾ってあった写真を伏せた。

そして、こちらを振り向き「でも、違ったんだ。最初は確かに天音ちゃんと美津希を重ねてたけど、今は違う、、、。今の俺は、天音ちゃんに会いたいと思うようになってた。」と凌さんが言った。

凌さんの言葉にわたしは涙が溢れてきた。
そして、わたしは声に出して泣いてしまった。

凌さんはわたしの目の前まで来てしゃがむと、わたしの手を握った。

「天音ちゃん、今日俺の誕生日なんだ。俺のワガママ、、、きいてくれる?」

わたしは凌さんの言葉にゆっくりと頷いた。

すると、凌さんは「天音ちゃん、、、これから先、ずっと、俺の側に居てくれませんか?」と言ったのだった。

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