ひとりぼっちのラブソング

あの日から、わたしは前のように凌さんのお店に通うようになった。
変わったことと言えば、閉店してからわたしも一緒に凌さんの家に帰るようになったということ。

毎日ではないので、半同棲状態になっていた。

わたしの実家では、また両親がわたしのことで夫婦漫才のような会話を繰り広げていたが、わたしは気にしなかった。

いつしか、両親にも凌さんを紹介できる日が来ればいいなぁ。
そう思っていた。

そして、わたしは凌さんの家のテーブルに向かい、鉛筆を片手にノートとにらめっこをしていた。

「何してるの?」
そう言いながら、凌さんはわたしを後ろから抱き締める。

わたしは腕でノートを隠すようにして伏せた。

「何?何か書いてるの?」
「歌詞を書いて見てるんだけど、、、」
「へぇ、見せてよ。」
「えー、恥ずかしい!」
「いいから、見せて?お願い。」

わたしは凌さんのお願いに弱い。

恥ずかしながらもわたしは凌さんに自分で書いていた歌詞を見せた。

凌さんはわたしが書いた歌詞を読むと、「いいね。音を付けようか。」と言った。
そして、ギターを1本手に持ち、「タイトルは?」と訊いた。

わたしは少し考えたあとで答えた。

「ひとりぼっちのラブソング。」


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