ひとりぼっちのラブソング

11月も終わろうとしていた、そんなある日。

今日も弾き語りが終わり、帰り支度をする凌さんが「明日から来るなよ。」と言った。

わたしは突然の言葉に「えっ?何でですか?!」と立ち上がった。

「明日からは、俺も来ない。」
「弾き語りやめちゃうってことですか?」
「まぁ、そうなるな。」
「じゃあ、わたしと個人的に会ってもらえませんか?LINE教えるので!」

すると、凌さんはギターケースを担ぎ、ふとこちらを見た。
その目には、光がなく悲しげだった。

「君、天音ちゃんだっけ?高校生だよね?俺は、君からしたらただのおじさんだ。」
「そんなことないです!凌さん、カッコいいですよ!」
「俺は、32だ。俺の年齢で高校生の君と会うわけにはいかない。」
「そんなぁ、、、LINEだけでもダメですか?」

凌さんは「ダメだ。」と言うと、歩き始めた。

しかし、わたしは諦められず、その背中に「お願いします!」と叫んだ。

すると、凌さんは足を止め、顔だけチラッとこちらを向くと「20歳になってから会いに来い。」とだけ言い、行ってしまった。





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