となりのたばこさん。
転
いつもと変わらない朝。
燃えるゴミのひとり暮らし用です、って感じのゴミ袋を持って家を出ると
「あ、」
「おはようございます」
「たばこさん、」
「たばこさん?」
「っあ、すみません、おはようございます」
また、くすくすと笑ったたばこさんは
「はじめましてですよね、」
「あ、そう、ですね、引っ越しの挨拶もせずすみません、隣に引っ越してきた朝倉です」
「朝倉さんか、水野です、よろしくね」
「あ、はい、よろしくおねがいします」
それだけ離すとひらひらと手を振り、歩いていってしまう。
「不思議なひと、」
ふっとこぼした独り言は誰にも聞こえていなかったはず。