最強ヴァンパイアに囚われて溺愛、溶かされる



私が柊くんが初めて会ったのは、中三の頃だった。

いつも乗る電車を待っている時、パーカーを深く被った彼に話しかけられた。



「あの、これ落としましたよ。」


「あ…」



と差し出された手の上にあったのは、小さいクマのイラストが描かれたハンカチだった。


折りたたまれたハンカチがなんだか小さく見えた。

この人の手…大きいんだな…



「ありがとうございます。」



それが彼との出会いだった。


  


「あれ?パーカー変えたの?」



「ああ…もう暑いから。」



それから、私は電車を待つ間、彼と話をするようになった。

フードを深く被っていて、顔はよく見えないけれど
目の下にあるホクロがすごく特徴的だ。



「柊さんって、」


「柊でいいよ。」


「じゃあ…柊くんって高校生?」


「うん。高一。」


「じゃあ一個上かあ。」



たしかに…でっかいもんな……

初めて会った時、手を見て思ったけれど、彼はとても身長が高い。

というかでっかい。


私一人悠々と覆い隠せてしまえそうなくらい大きい。
細身というよりはがっしり?していて、

所謂、大型犬男子ってやつだろうか。



「どうしたの?」


「あの…でっかいなって……身長いくつ?」


「でっかいって…はは…確か、前測った時は183だった気がするけど。」



「高っ…やっぱり高校入ると男子って大きくなるもんなのか…でも柊くんが特別?」




「まあ…俺はそれこそ、でっかい方かな。紬ちゃんは?」



「…149かな。」



「小さいね。」



「まあ…」


なんて、何気ない話をしながらも、いつも彼との会話を楽しみにしていた。 
 
 


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