最強ヴァンパイアに囚われて溺愛、溶かされる
「んっ…」
次の瞬間、
彼の綺麗な顔が至近距離まで来てたと思ったら…
唇に柔らかい感触がした。
「ん、ぐ……」
最初自分が何をされたのか分からなかった。
キス…だ…、今キスされてる…
噛み付くような強引なキスに抵抗したくても、手も身体も、押さえつけられていて押し返せない。
その上、彼の舌技が私の抵抗を押し殺してくる。
「ふ、っ………」
唇を舐められたかと思えば、ヌルっという感触がした。
舌…口の中に入ってくる…!
火傷しそうなぐらい熱い舌は縮こまる私の舌を引き出し、無理矢理絡めとる。
かと思えば、上顎をぞりぞりと舐められ、感じたことない感触に目にじわりと涙が浮かぶ。
蹂躙される口内か恥ずかしくて耳を塞ぎたくなるような、唾液の音がしてもっと泣きたくなってくる。
「ふ、う…ごほっ、こほっ……」
ずっと押さえつけられていた手が離される。
キスが終わった頃には、もうぐずぐずになっていた。
「ひいらぎ…くん……」
酸欠でくらくらして、涙で視界が霞むなか、必死に彼の顔を探した。
なんでこんなことしたの…?
頬に硬くて、冷たい手が当てられる。
熱い私の身体にはそれが気持ちよくて、擦り寄るように当てた。
「つむぎ……」
顔をあげられ、強引に焦点を合わせられる。
やっと見つけた彼の顔は紅い目は蕩けるように下がり、頰は赤くほてっている。
ああ…これだ……
密かに怖いと感じられた、彼のこの狂気。
瞳の中にあったそれが、今全面に出ているように感じた。