最強ヴァンパイア達の溺愛が重すぎる
甘い罠
ナンパ
帰るためのバス停へ歩いていた時、ぶるぶると制服のポケットの中のスマホが振動した。
"お母さん"そう書かれた電話を、少しためらいながら押す。
「あ、もしもし…」
『…もしもし、元気にしてる?』
「うん、大丈夫。元気だよ。」
高校に入学して、一人暮らしをしている私を心配して一ヶ月に一回は、母と電話をしている。
『そう、それはよかった。勉強は?どうなの?一人で大丈夫?』
「うん、順調だよ。前だって数学で93点取ったし!……うん。うん」
『ほんとうなの?それならいいけど……』
信じてるのか怪しい母の返事はいつもの通りだ。
「………うん…うん……そうだね。気をつけるよ。…じゃあ。体に気をつけて…ばいばい。」
ぶつり。と音がして電話が切れる。
通話時間、五分の会話は現在、私と母を唯一繋ぐものだ。
「ああ…さむい……」
ポケットにスマホを戻すついでに自分の手もつっこんだ。
9月上旬になり秋に近づいてくるせいか、最近は肌寒くなっている。
お母さんには本当に申し訳ないことをしたと思っている。