最強ヴァンパイアに囚われて溺愛、溶かされる




私が彼と会えるのは、卒業するまでの間だけだった。

卒業式を迎えた最後の日。

自分の"想い"を伝えたくて、友達との写真も撮らないで、いつもより早く駅についた。



「はあ…はあ…っ……」


見渡すけれど、彼はまだ来ていない。

告白するつもりだった。
毎日、話す度に…彼に惹かれていった。

 
意地悪は言ったりするけど、本当に嫌なことは言わない。悪いところは、叱ってくれた。

嫌なことがあったら慰めてくれたし、楽しい時は一緒に笑った。
誕生日を覚えててくれてプレゼントをくれた。

 
何より、私のことをちゃんと正面から見てくれた。

頑張ったら褒めてくれたのは、彼だけだった。


その思い出だけで充分。だから、振られてもいい。


はずだったのに。



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