最強ヴァンパイアに囚われて溺愛、溶かされる
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「起きた?」
早く来たはずなのに、なぜかベンチで寝てしまっていた。
時計を見れば、彼の電車が来る1分前。
不思議そうなに眉毛を下げて、覗きこむ彼の黒髪が風で揺られる。
「今日、卒業式だったの?」
「うん。」
「進学したら、もうこの電車使わないもんね。……じゃあ、これで最後か。」
その言葉には何の感情も含まれていないみたいだった。
そっか…
嫌でも分かってしまった。
結局…私は、暇な時に話すただの女の子。だったんだな。
無慈悲な音を立てながら電車が来た。
「じゃあ。」
背を向けて電車へ歩いていく。こんな最後なのに、思うことは空っぽだった。浮かんでも無駄だと、雲みたいに消えてしまう。
そうだ、せめて連絡先でも交換しておけばよかった。
でも、今更、言えない。
「ばいばい。」