最強ヴァンパイアに囚われて溺愛、溶かされる
溶かす
自分の中のピースがカチリとはまる音がした。
ああ、彼の言っている行動を、意味を理解してしまった。
自分に押し乗る男を恐る恐る見る。
先程よりも落ち着いた様子の彼は、掻き乱れた髪と妖艶に微笑む唇により、色気を増している。
危機的な今だって、見惚れてしまうほど十分に魅力的。
しかし、その表情の中にある高揚した感情が、私でも分かるほどに見え隠れしている。
……まるで獲物になった気分だ。
その証拠に、腕を掴む力も強くなっているように感じる。
彼のこの様子から、やっぱり思い当たるのは。
「柊くんを…私が、柊くんを噛んだの?」
「正解。俺に噛みついて、その効果を果たした。恋慕のヴァンパイアが持つ性質。
…ずっとつむぎが好きで、求めてしょうがない、呪いみたいだ。」
「でも…でもそんなの信じられない!今だって、キスされたからおかしくなっただけで…」
「…前に言ってた君のお母さん、そのことを隠してたんじゃないかな?」
「…え?」
「電話、する?」