最強ヴァンパイアに囚われて溺愛、溶かされる




"勉強"だけが私の取り柄だった。


ヴァンパイアにこそ生まれなかったけれど、勉強だけは頑張って、そこそこ良い結果を残してきたつもりだ。

母からもよく褒められた。


…でも、私は高校受験に失敗した。


第二志望の高校に入学してからは、誰からも期待されなくなった。

学校周りの友達のレベルを見ても低い。


自分の無力さを毎日感じている。

…もう、勉強が得意だなんて言えなくなった。


私は何の取り柄もない。


何の取り柄もなくなった人間だ。




「………はあ…もうやだな。」



乾いた空気が冷たい。

帰り道、住むマンションまで歩くまでの間、いつも憂鬱な気持ちになってしまう。



…忙しいほうが、案外何も考えなくていいから楽なのに…




「せめて、ヴァンパイアだったら良かったのに。」

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