最強ヴァンパイアに囚われて溺愛、溶かされる

昨日の夜に柊くんと取引した私だけれど、結局彼には噛まれなかった。
幸か不幸かはわからないけれど。


まるで肉食動物みたいに牙を向けて、キスをする姿は
いつでも余裕たっぷりな姿からは程遠かった。


  
「あんな柊くん…見たことなかった。」

 

「どんな?」



「ひぎゃっ!び、びっくりした!」



心臓が止まるかと思った…

いつの間に帰ってきた当事者は、ひょこりと後ろから顔をのぞかせる。

昨日の面影は全くない。いつものかっこいい爽やかイケメン柊くんだ。



「お菓子、買ってきたんだけど食べない?」


「食べる!」

 

にっと彼が笑うと、つられて笑ってしまう。心がぽかぽかして暖かくなった。


気づいてしまった。


どうであれ、私は。

ほんの少しの恋心をまだずっと捨てきれずにいる。



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