【不定期更新】甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
君しかいない
夜8時、駅の正面入口。

「なんでいるんですか!」

ついそう言いながら、私は先ほどの新幹線で横にいた男性に詰め寄っていた。

駅の前での約束は断りの留守電を入れたはずなのに。



時哉(ときや)



「はい?」



「さっき新幹線で渡したメモ用紙に名前を書いたから、君に名前を呼んで貰えるのを楽しみにしてたんだけれど」



「いや、そんなことより……!」

「いいから、ほら。呼んで?」

この人の断りにくいこの圧はどこから来るのだろう。



「時哉……さん」



私が名前を呼ぶと時哉さんは嬉しそうに微笑んだ。

「よし、じゃあ行こうか」

「は!? あの、ちょっと!」

私の制止を聞かずに時哉さんは私の手を掴んで、歩き出してしまう。
< 10 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop