【不定期更新】甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

「あ、本当だ……ごめん、仕事中で見てなかった。もしかして、用事があった？」

「用事はないですけど……」

「けど？」

私はこのまま時哉さんのペースに流される訳にはいかないと、勇気を出して顔を上げる。


「新幹線で隣になっただけの人ともう一度会うのは、普通に怖いというか……」


すると、時哉さんは突然バッグの中から何かを探し始めた。

「時哉さん？」

そして「あった」と言って、私に一枚の小さな紙を差し出す。

その紙は名刺で、時哉さんの務める病院名と時哉さんの名前などが書かれている。


「不安だったら、この病院を調べて。ホームページにも名前が載ってるし。あ、それでも不安な時は実在する病院かしっかり調べればいい」


「え、あの」


「警戒心が強いのは良いことだしね。それに今日じゃなくても、連絡をくれたら時間を作るよ。仕事が忙しくて、合わせられない時もあるけれど」


時哉さんは普通にそう話していく。