【不定期更新】甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
「時哉さん……?」

すると、時哉さんがパッと私と目を合わせた。




「いいの?」




「え?」




「こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」




そして、時哉さんはわざと意地悪なことを言うのだ。




「俺が悪い人だったらどうするの?」




「……時哉さん」

「何?」

「時哉さんは私が悪い人だと思いますか?」

「……?? 思わないけど」

「それと一緒で、私だって時哉さんが悪い人じゃないことくらい分かります……いや、まだ分からないかもだけど……意地悪だし……それに、本当に悪い人だとしても私の勤めてる会社の名前まで教えてる訳じゃないし……」

段々と歯切れが悪くなっていく私を見て、時哉さんがまた「ははっ」と吹き出した。



「そこは『悪い人じゃない!』って言い切ってくれないの?」



「だって、まだそこまでお互いのことを知らないじゃないですか!」



「そうだね。だから、『奏葉』。もっと俺のことを知って?」



先ほどメモ用紙に書いた名前を簡単に呼び捨てする時哉さんはやっぱり悪い人かもしれない。

いや、悪い人というか……チャラい人というか……。

それでも、目の前にいる時哉さんにもう二度と会えないのは嫌だと思ってしまったのも事実で。
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