【不定期更新】甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
つい嬉しくて、じっと本棚を眺めている私に時哉さんが近づいてくる。

「ねぇ、新幹線で奏葉が読んでいた漫画を貸してよ。代わりにこの中から好きな漫画を借りて行っていいから」

「いいんですか……!?」

「もちろん」

嬉しそうに笑う時哉さんを見て、私は少し子供っぽかったかなと恥ずかしくなってしまう。

私はそのことを誤魔化すように話題を変えた。

「時哉さんのオススメは、どの漫画ですか?」

「うーん、好きな漫画は多いけれど、最近のお気に入りはこれかな?」

時哉さんに渡された漫画を私はパラパラと開いて、少し内容を確認する。

少しだけ内容を確認した私は顔を上げた。


「面白そうですね! この漫画を借りてもい……」





「っ!?」





顔を上げた瞬間、時哉さんが私にあと一歩ほどの距離まで近づいている。

離れるために少し下がろうと思っても、本棚が後ろにあるので下げれない。






「ねぇ、奏葉。キスしても良い?」






「っ! 何もしないって言ったじゃないですか!」






「そんなこと言ったっけ?」





そう言って笑う時哉さんはどこか目に暗さを秘めていて。

つい私は「やっぱり騙されたんだ」と涙目になってしまう。

その瞬間、時哉さんの顔色が焦ったようにすぐに変わる。
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