第二幕、御三家の嘲笑
 殆ど推定だと思ってくれて構わないとまで言ったけれど、憶測では、ないのだろうか。松隆くんも同じ予想だと言っていたから確かめたくなって口を開いた。――それなのに。

『俺のクラスに、桜坂はいない』

 よりによってこんな時にそんな冗談を言うなんて、月影くんと示し合わせたんじゃないかと思うくらいタイミングが良すぎた。ううん、松隆くんは最近そんな冗談を言うことがあるし、大体その台詞に含意されるものとして私が想像を働かせすぎているのかもしれない。ただの自意識過剰かもしれない。特別な意味はないのかもしれない。それでも、勘繰らずにはいられない。

 お陰で口を閉じてしまった。松隆くんの目が一瞬私を見たから、どうやら何か言いかけたことはお見通しのようだ。でも訊ねて来る気配はない。代わりにふっと笑った。


「全く、馬鹿みたいだな、俺達は」

「え? なに?」


 小さくて聞き取れなかった声を私が聞き直す羽目になってしまった。ううん、と松隆くんは首を振る。


「こっちの話」
< 122 / 438 >

この作品をシェア

pagetop