第二幕、御三家の嘲笑
「あの生徒会の生徒会長なのにね? 仮に誰かがそれを狙ったんだとしたら、まぁ他の金持ち役員の傀儡なんだね、で終わるけれど。何も考えてないヤツには見えない」
そう思うってことはやっぱり松隆くんと鹿島くんとの間で何かあったんじゃん……。そう勘ぐってしまうけれど、どうせ松隆くんは襤褸は出さないだろう。
「ま……、警戒するに越したことはない相手だって話さ。生徒会長って肩書きだけで警戒するには十分過ぎるけどね」
丁度そのとき、改札口に桐椰くんが見えたので会話は終わった。私と松隆くんが並んで立っているのをすぐに見つけて駆け寄ってくる。もふもふの金髪は暑さで少しだけ乱れていた。
「悪い、遅くなった」
「黙れよ確信犯。コーヒーおごりで」
「はぁ!? お前が……」
「お生憎、別に桜坂と喧嘩なんてしてないよ」
桐椰くんがうっかり口を滑らせそうになる前に松隆くんが全てを見透かした回答を与えてしまった。ひくっと桐椰くんの顔が引きつる。折角気を遣ってくれたというのに、なんだか不憫だ。
「元気出して、桐椰くん」
「お前が言うな!」
「いいじゃん、そういう気遣いできるとこいいと思うよ! いっつもパーカー着ててパーカー大好きっ子なとこも可愛いと思うよ! ピンク色似合っちゃうのもいいねイタタタタ」
「お前馬鹿にしてんだろマジで」
「公衆の面前でじゃれるのはやめなよ」
完全に空回りしてしまった桐椰くんが真っ赤になりながら私の両頬に八つ当たりをする。松隆くんの呆れた声が降って来てもおかまいなしなほどだ。でも私は安心する。元気出して、と言うときは少し声が上擦ってしまわないか心配だったし、桐椰くんもいつも通り怒鳴ってくれるか不安だったけれど、いつも通りだ。
「大体お前らがあんなことになるから……」
「別に大したことじゃないだろ。殴る蹴るの喧嘩したわけじゃないし」
「女と殴る蹴るの喧嘩してたら大事だろ!」
「価値観が違いますで終わりだもんねー、松隆くん」
「ねー」
「ねー、じゃねぇんだよ気持ち悪ぃな! だったらさっさと買いに行こうぜ。夕方一瞬降るって言ってたし」
そう思うってことはやっぱり松隆くんと鹿島くんとの間で何かあったんじゃん……。そう勘ぐってしまうけれど、どうせ松隆くんは襤褸は出さないだろう。
「ま……、警戒するに越したことはない相手だって話さ。生徒会長って肩書きだけで警戒するには十分過ぎるけどね」
丁度そのとき、改札口に桐椰くんが見えたので会話は終わった。私と松隆くんが並んで立っているのをすぐに見つけて駆け寄ってくる。もふもふの金髪は暑さで少しだけ乱れていた。
「悪い、遅くなった」
「黙れよ確信犯。コーヒーおごりで」
「はぁ!? お前が……」
「お生憎、別に桜坂と喧嘩なんてしてないよ」
桐椰くんがうっかり口を滑らせそうになる前に松隆くんが全てを見透かした回答を与えてしまった。ひくっと桐椰くんの顔が引きつる。折角気を遣ってくれたというのに、なんだか不憫だ。
「元気出して、桐椰くん」
「お前が言うな!」
「いいじゃん、そういう気遣いできるとこいいと思うよ! いっつもパーカー着ててパーカー大好きっ子なとこも可愛いと思うよ! ピンク色似合っちゃうのもいいねイタタタタ」
「お前馬鹿にしてんだろマジで」
「公衆の面前でじゃれるのはやめなよ」
完全に空回りしてしまった桐椰くんが真っ赤になりながら私の両頬に八つ当たりをする。松隆くんの呆れた声が降って来てもおかまいなしなほどだ。でも私は安心する。元気出して、と言うときは少し声が上擦ってしまわないか心配だったし、桐椰くんもいつも通り怒鳴ってくれるか不安だったけれど、いつも通りだ。
「大体お前らがあんなことになるから……」
「別に大したことじゃないだろ。殴る蹴るの喧嘩したわけじゃないし」
「女と殴る蹴るの喧嘩してたら大事だろ!」
「価値観が違いますで終わりだもんねー、松隆くん」
「ねー」
「ねー、じゃねぇんだよ気持ち悪ぃな! だったらさっさと買いに行こうぜ。夕方一瞬降るって言ってたし」