第二幕、御三家の嘲笑
今朝、私が来たときは雅はいなかった。ということは私じゃなくて御三家の誰かに会おうと思って来たのか……。桐椰くんを選んだのは、偶々会ったのが桐椰くんだったからかな。若しくは月影くんの顔は分からず、松隆くんだと言い負かされると思ったからか。
「話は戻るけど、お前、アイツに言っとけよ。俺達とは何もないって」
「言ったけど信じないんだって」
「念押ししとけよ」
「連絡先知らないもん」
「はあ? 元カレだろ?」
「桐椰くんは今でも蝶乃さんの連絡先知ってるの?」
「知らねーよ! お前は向こうが未練あるの丸分かりだから知ってるに決まってると思ったんだよ!」
「教えないの分かってたから聞かなかったんじゃない?」
ガラリと扉が開き、蓼沼先生が入ってきた。お陰で桐椰くんと私との会話は途切れる。
雅は、私の連絡先を知らない。幕張匠の相棒だったときから、ずっと。
◆◆◆
四時間目、プールの授業前。水着を片手に廊下を歩いていると、正面から蝶乃さんが歩いてきた。BCC以来、御三家抜きで出会すのは初めてだ。ゲッ、なんて頬がひきつれば、それを認めた蝶乃さんが顔をしかめた。
「何、その反応」
「いえ、何でもないです」
「BCCで優勝したっていうのに、相変わらず普段はとんでもなく地味ね」
「……すいません気を付けます」
「ま、アタシには関係ないことだけど。優勝を手放しに喜ぶべきではないんじゃない? あれは御三家の人気であって、貴女の人気じゃないんだから」
別に私は喜んでないけれど……。蝶乃さんは透冶くんの事件の詳しいことは知らないのだろうか。金持ち生徒会が作られた理由とか。
「……謙虚に生きていきます」
「そうしたら? 桜坂さんは御三家というものがありながら外に男作ってるって話、聞いたわよ」
「えっ」
十中八九どころじゃない、十中十、雅のことだ。やっぱりキスはやり過ぎだ。詳しい遣り取りを聞いてても誤解が生じるのに、何も知らない周辺の生徒は雅が私の彼氏だと勘違いしても無理はない。
「あれは……、その、無理矢理されただけで……」
「そんなことはどーでもいいのよ。問題はそう思う人が多いってことなんじゃないの?」
「話は戻るけど、お前、アイツに言っとけよ。俺達とは何もないって」
「言ったけど信じないんだって」
「念押ししとけよ」
「連絡先知らないもん」
「はあ? 元カレだろ?」
「桐椰くんは今でも蝶乃さんの連絡先知ってるの?」
「知らねーよ! お前は向こうが未練あるの丸分かりだから知ってるに決まってると思ったんだよ!」
「教えないの分かってたから聞かなかったんじゃない?」
ガラリと扉が開き、蓼沼先生が入ってきた。お陰で桐椰くんと私との会話は途切れる。
雅は、私の連絡先を知らない。幕張匠の相棒だったときから、ずっと。
◆◆◆
四時間目、プールの授業前。水着を片手に廊下を歩いていると、正面から蝶乃さんが歩いてきた。BCC以来、御三家抜きで出会すのは初めてだ。ゲッ、なんて頬がひきつれば、それを認めた蝶乃さんが顔をしかめた。
「何、その反応」
「いえ、何でもないです」
「BCCで優勝したっていうのに、相変わらず普段はとんでもなく地味ね」
「……すいません気を付けます」
「ま、アタシには関係ないことだけど。優勝を手放しに喜ぶべきではないんじゃない? あれは御三家の人気であって、貴女の人気じゃないんだから」
別に私は喜んでないけれど……。蝶乃さんは透冶くんの事件の詳しいことは知らないのだろうか。金持ち生徒会が作られた理由とか。
「……謙虚に生きていきます」
「そうしたら? 桜坂さんは御三家というものがありながら外に男作ってるって話、聞いたわよ」
「えっ」
十中八九どころじゃない、十中十、雅のことだ。やっぱりキスはやり過ぎだ。詳しい遣り取りを聞いてても誤解が生じるのに、何も知らない周辺の生徒は雅が私の彼氏だと勘違いしても無理はない。
「あれは……、その、無理矢理されただけで……」
「そんなことはどーでもいいのよ。問題はそう思う人が多いってことなんじゃないの?」