第二幕、御三家の嘲笑



 生徒会室に行くまでの道のりで、鹿島くんの意図に思いを巡らせる。元々、鹿島くんは登校日に私を呼びだすつもりだといったことは匂わせていた。月影くんの誕生日プレゼントを買いに行った日、また登校日に会おうとわざわざ言ったから。あの時に、今すぐ何かを要求する必要はないと鹿島くんは言っていた。じゃあ今日呼び出したのは要求するものがあるから? 私の手の中にあるものなんてたかが知れてるのに……。

 一体何を、と考えながら歩いていると、不意に目の前に誰かが立ち塞がる。いつの間にか俯いていた顔を上げると、しかめっ面の月影くんが立っていた。


「……久しぶり」

「遼は」

「桐椰くんなら副島先生の用事とかで職員室に。でも多分すぐに終わると思う」


 私が生徒会室に呼び出される場に居合わさせないための鹿島くんの計画の一環だから。心の中でそう付け加えた。そうか、と月影くんはしかめっ面のまま返事だけをする。動く気配はない。


「……あのう、用事がないなら退いてもらえると嬉しいのですけど……」

「遼に送ってもらうんじゃないのか? どこへ行く」


 月影くんがそんなことに拘るとは思っていなかったせいで、その詰問は想定外だった。だからこそ鹿島くんの計画の一環だからとは口に出さなかったのに……、額を押さえる。月影くんには仕方がない。どうせ私が月影くんに隠してることなんてもうほとんどない。

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