第二幕、御三家の嘲笑



「だから、どうか……救ってあげてほしい。それがお前じゃなくてもいい。救ってくれるなら、松隆でも桐椰でも誰でもいい。でもお願いだから亜季を救って……」

「……何から救えばいいんだ」

「……それは、俺にも分からなかった」


 彼女は友人だ。だが彼の言っていることはさっぱり理解できなかったし、そんな頼み方をされても困る。何から救えばいいのかも分からないのに救ってくれと言われても手の施しようがない。断りはしないが引き受けることはできない――そう口にしようとしたが、「それでも頼む、」と更に深々と頭を下げられ遮られてしまった。


「このままだと、きっと亜季は死んじゃうから……」


 ――彼が、御三家(おれたち)のことを知ってその言葉を口にしたのかどうかは、分からない。寧ろ知らないほうが自然だった。ただそんなことはどうでもよかった。

 医者でもなんでもない俺達にそんなことを頼むということは、彼女は体の病気以外の理由でそうなるということだ。つまり、自らその行為を選ぶと。


『私はスマホのカメラ機能というものを使ったことがありませーん』


 体の芯が、冷えた気がした。


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