第二幕、御三家の嘲笑
 私達が歩き出せば、二人も踵を返す気配がする。優実は興味津々で私を覗き込む。


「ねぇ、どっちか彼氏?」

「ううん、違うよ」

「じゃあ予定?」

「予定もないよ」

「えー、つまんないの。すっごいイケメンなのになー」

「そんなことより、優実、そろそろ誕生日じゃん? 何か欲しいものないの?」

「あるよ、いっぱい! 今持ってるスマホ飽きて来ちゃったし、お財布も欲しいし、あ、時計も欲しいんだよね」

「そのあたりはお父さんに頼まなきゃ」


 ちら、と振り返る。二人の後ろ姿が見えた。話し声が聞こえるから、私達にそう関心を向けているわけじゃない……と、思う。


「あ、じゃーお姉ちゃんには友達紹介してほしいな! あのイケメンの友達!」

「うーん、いいけど、オススメできるのは顔だけだよ?」


 きっと一番オススメできるのは桐椰くんだけど、最近の桐椰くんはどうにも私に冷たいし。月影くんは女嫌いだし、松隆くんは、いかんせんその言葉の真意を読むのが、ポーカーの練達者相手並みに難しい。

『はは、まあ、冗談なんだけど』

 心が、揺れる。




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