この結婚生活に、ピリオドを。【ifストーリー】
「――いいえ。心春さんは、素敵な人です。今の生活に不満はありません。ただ、俺には心春さんを幸せにすることが出来ません。俺は、心春さんを幸せにしたいんです。心春さんの隣に相応しいのは、俺ではありません」

声が途切れたと思えば、また声が聞こえてくる。心春は、声の主――総司の言葉に耳を傾けた。

「――心春さんは、俺の初恋の人です。心春さんには幸せになってほしい。地位を……必要であれば、今の職を捨ててもいいです。俺は、仕事よりも心春さんの幸せを優先します」

総司の言葉に、心春は目を見開く。

(……総司さんは、演技ではなくて、本当に私の事――)

今までの態度を思い出し、心春はとあることを気付いた。

「失礼します……ってあれ?心春さん?」

電話を切り、心春の姿を見付けた総司は驚いた顔をする。

「……ごめんなさい。お手洗いに行こうと思ったら、総司さんの声が聞こえてきて……」

正直に話し、心春は総司に謝った。

「……そうでしたか。心春さん、今から大事な話があります。まずは、席へ戻りましょうか」

そう言って、総司は心春に背を向けて歩き出した。
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