画面越しじゃ、満たされない

「お守りが増えたんだよ」



-・ ・- ・-・・ ・・ 


「おーーーーーーい!!!
ナーーギっちーーー!!!」


「え、朝からうるさ。
……おはよう、"タイガ"」


「いやー、遠くの方からナギっちの後ろ姿見つけてさー。
行きで一緒になるなんて、珍しいじゃん?
嬉しくて、気付いたら走ってたよね!!」


「……頼むから、もっと静かに歩いてくれん?
ここが住宅街やったら怒鳴られてんで。
てか、今日は寝坊せんかったんやな」


「そりゃそうさー。
大事な交流大会当日だもんっ」


「大事な国内大会当日に、
"やばーい。ギリギリかもー"とか、ふざけた連絡してきよったん、
どこのタイガくんやったかなぁ???」


「忘れたよ、そんなタイガくん。誰?」


「君しかおらんやろ」


「もー。いーじゃん。
今日は早いでしょ?今何時?」


「えーっとなぁ……」


「あれ、待って。ナギっち、待ち受け変えた?」


「……見んといてよ。
なんで人の待ち受けなんか覚えとん」


「えっ、なんか怪し〜。
海か山?っぽい写真、見えたんだよなー」


「………………」


「まさか……デートで行ったトコとか!?
え、彼女……?彼女!!!????」


「そんなんちゃうわ!」


「やっば……ナギっちの顔……めちゃ赤い!
ガチスクープだよコレ!!
トワりんと、"clear(クリア)"にも言わなきゃ!!!」


「ちょ、ほんまにやめてくれ。500円あげるから」


「え、認めるってこと?」


「……そうやない。
けど、このまま君を野放しにしたらデマが広がるやろ」


「だってさー。
いっつもだったらこんなジョーダン、
軽いデコピンで流して終わりじゃん?」


「…………………………」


「あ、待ってわかった。
彼女じゃないけど、"デートで行った"って部分は当たりってこと?
ナギっち、片想い?」


「……………………………………」


「わー、図星の顔してる」


「……どんな顔やねん。
もうタイガのことなんて置いて行く」


「待ってナギっち!!!!忘れ物!!!」


「……何」


「500円。まだもらってないよ?」


「くっそ……………"早起きは三文の徳"なんちゃうんかい」


「ほんとだねー、珍しく早起きしてよかった。僕にとっては!」


「…………不平等やわぁ」


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