画面越しじゃ、満たされない
"応援したい人がいる"
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『—— 皆さま、お待たせいたしました。
只今より……世界王者の座をかけた、
"World Championship"、決勝戦の模様をお送りしていきます。
まずは……両チーム、選手入場です!!』
「うわぁ……すごい……真剣な表情……。
画面越しでも、みんなの緊張が伝わってくるよ……。
私も緊張してきたぁあ……」
『——対するは、 我ら日本代表:"Share Comet"!!
昨年は、惜しくもベスト4入り目前で敗退となりましたが……
その壁を優に超え、ついに……ついにここまで辿り着いてくれました……!!』
「おお……
実況の方の声も、いつも以上に熱入ってるな……」
『—— 1週間にわたる激闘のトーナメントでしたが……
泣いても笑っても、次がラスト。
次の試合で……今年の王者が決まります!!
この最後の関門を超えられれば…………
日本は、悲願の初優勝を達成することが出来ます!!』
「ひぃ……ダメだ。口から心臓が出そう。
これ私……独りで無事に見届けられるのかな……
やっぱり誰か呼べばよかった。私を看取ってくれる人」
『——さぁ、いよいよ!
両チームの準備が整ったようです!!』
「頑張れ……頑張れ、みんな……!」
『——クライマックスを見届けましょう!
"World Championship"決勝戦……開幕!!!』
「は……始まっちゃった…………!」
「っはぁ……やば……呼吸忘れる…………」
「スポーン……え、結構な下振れ引いてない?
うーーーーーん……初動、渋いかも……。
くそぅ……どこまでも運が味方してくれないな……」
「でも、いつものみんなら大丈夫……あれ?」
「え、そんなルート取りしてくるの?!
うわ、完全に不意つかれてる……。
くぅう……相手、かなり手強い……これが世界……っ」
「ひいぃ……崩されてるよぉ…………」
「ああ……!タイガくん、狙われてる……!
ぐっ……さすがに厳しそう……。
お願い…………耐えて……!!」
「わ!ギリギリもってる……!
すごい!タイガくん、読み合いうまい!!」
「うわ!トワくん、フォローが良すぎるよ……!
神連携……!!」
「え、待って!相手クール上がってる……!
あれ撃たれたら…………流石に絶望的…………」
「あ…………みんなの目…………。
やっぱり、すごいな。
こんな窮地でも……誰も諦めてない。
いつものキラキラのままだ……!」
「っえ!!!?!
なに、今の回避!!!タイミング完璧だよ……!
え、読めてたの?天才?いや、天眼?
うわ〜〜VC聴きたいな〜〜〜!」
「すごい!!初めて、相手に隙出来てるよ!!
なんとか立て直し…………
って…………もう残り時間が…………」
「やだ………………やだよ………………
あと一歩なのに…………っ」
「あれ……?
これ、もしかして……ラスト、決めることが出来れば……!?
いや、さすがにそんなの、無理か……」
「あ」
「…………………ナギくん……?」
「……え?
待ってよ、ナギくん……もしかして……
そんな位置から……?」
「……え。ほ、本気なの!?
そんな……普通、無理だよ…………」
「でも……もしかしたら……ナギくんなら……!!」
『————間違いなく、これが最初で……最後のチャンス!!
さあ、ナギが動いた…………ナギが動いた!!!』
「お願い……お願いお願いお願い…………!
決まって…………奇跡をみせて…………っ!
ナギくん…………!!!!」
『————時間が迫る!!届くか!?
絶対絶滅のピンチから!僅かな可能性を掴みに今!
想いを込めた……ラストアタック…………!!!!』
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